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ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第五章 半百合冒険

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第402話 敵の情報を知り次の動きへ

 ズーラント帝国との人質変換の折には、対応していた高官や兵士から、俺と戦う意思は感じなかった。今回ここに来ているズーラント帝国の奴らは、どうやら俺達のヒストリア王国で離反した、第三騎士団や第四騎士団の一部のような奴らとおなじらしい。ネメシスの一派から、たぶらかされた奴らの集団だ。


「国を相手にする訳じゃ無いと分かっただけで、やりようは出て来たね」


「そうだな」


「すっごく、大きな情報を得れた」


「一度、帰っても良さそうだが」


「ん? スティーリアを、怖い目に合わせたのに?」


「と、言うだろうと思った」


 見ている先では、騎士達が焼け残った荷物を荷馬車に積み込むところだった。


「しかし、騎士団が奴隷に成り下がるとは、酷いものだね」


「自業自得だろう」


「賃金の安さなのか? 待遇の悪さなのか? なぜ奴らから、そそのかされるのか」


「足無蜥蜴の誘導も、上手いのだろう」


「そうか……」


 荷馬車が動きだし、その周りを警護するように騎士団が囲んだ。


「警戒してるね」


「教会の件があるからな、襲撃される可能性は考えてるだろう」


「なるほど」


 俺達がバレないように、人ごみに紛れつつ荷馬車を追う。距離を離しつつも、アンナが先に歩いた。


「アンナは、こうやって魔獣を追うんだもんね」


「そう。馬も、魔獣と同じ。匂いも気配もある」


「なるほど」


 だから、角を曲がって視界が遮られても、アンナは焦る事は無かった。周りに警護を付けているから、荷馬車もスピードを出せないでいる。


「この方向は教会かな?」


「どうか?」


 だが、そこはスルーした。


「違うんだ」


「だな」


 そのままついて行くと、少し大きめの建物に入って行った。だが、その建物を見て俺達は愕然とする。


「ちょ、孤児院?」


「だな。子供らがいる」


「嘘でしょ」


 その馬車は孤児院らしき建物に入って行き、警護についていた騎士達が柵の外を囲むように立った。


「ふう……」


「やっかいだな」


「人の盾だよ。とことん、えげつないやつらだね」


「まったくだ。だが、孤児院と言う事は……」


「やはり、教会にも敵は入り込んでる」


「なぜだ?」


「恐らくは、領主の目を欺くためだろうね。だけど、こんなあからさまに入っていくとは」


「子供らを盾にか……酷いものだ」


 最低な行為に、邪神らしさを感じる。俺達が、隠れた街角から見ていると、孤児院の中に運んでいる。しかも、なんと子供達に手伝わさせていた。


「ソフィアたちはもう、領主邸を出たかな?」


「どうだろうか」


「出ていたのならば、領主邸に嘆願書を投げ入れて、動かす事ができないかな」


「なるほど。それは、いいかもしれん」


「行って見よう」


 俺たち二人は、そのまま街に溶け込んだ。再び大通りを歩くと、フワリと紙が舞い降りて来る。


「シーファーレンだ」


 紙に記されていたのは、無事に仲間達を連れて外に出られそうだという。


「大賢者は、本当に凄いな」


「まるで、わたしたちを見ているようだ」


「シーファーレンがいる事で、かなり効率よく動けている。まず、彼女らに会いに行こう」


「わかった」


 俺達は、シーファーレンのメモで指定された場所に行く。市場に客として紛れているようだった。


「いた」

「ああ」


 買い物をしているフリをして、ボソリとシーファーレンに耳打ちする。


「領主を動かしたい」


 すると、ヴァイオレットがスッと俺に、書簡を渡して来た。


「ソフィア様とミリィ様が調べた、領主の内部の状況と関係の相関図です」


「わかった」


 そして両サイドに、ソフィアとミリィが立つので、俺が声をかける。


「じゃあ、速やかに逃げてね」


「ご武運を」

「どうか、ご無事で」


 丁度、目の前に、アクセサリー売り場があった。


 俺は、店のおばさんに聞く。


「これって、このあたりの?」


「ええ。この地で採れる鉱石なんです。魔よけの意味合いもあるんですよ」


「魔除け! いいね! じゃあこれを、十五個もらっていい?」


「十五個? そんなに? お土産かい?」


「そう。お土産、待っている子らに渡すの」


「そうかいそうかい」


「だから、元気に帰らなくちゃ」


「いいねえ」


 袋に入れてもらい、金を払った。


「きっと、皆これを待っててくれるだろうなあ」


「きっと、その子らもよろこぶだろうねえ」


「うん。じゃ、ありがと」


 俺達はすぐに市場を後にした。シーファーレンとソフィアたちも、反対の方向に向かって歩いて行く。

路地裏に入り込んで、スティーリアがいたはずの部屋に戻る。テーブルの上には、手紙が置いてあった。


 そこには一言だけ。


 ー先に参りますー


「よし。スティーリアも出たんだね」


「そのようだな」


 そして、ヴァイオレットがまとめた書簡を広げた。


 そこに記してあったのは、この領地を統括する国である、東スルデン神国と領主の関係性だった。


「なるほどね……」


「動きを取れないわけか」


 そこに記してあったのは領主が見て見ぬふりをしている、という事実だった。そして、その情報では、東スルデン神国も一枚岩ではないと言う事がわかる。ここに入り込んでいる足無蜥蜴ら不穏分子の事を、領主は煙たいと思っているようで、麻薬の流通をどうにかして押さえたいらしい。


「そりゃそうか。うちらの国もそうだったように、邪神の影響を受ける奴と正常な人がいるわけだ」


「ここの領主は、まともと言う事だな」


「だが、国には逆らえないようだね」


「どうする?」


「いや、簡単。今回の、孤児院に逃げ込んだのは、相手にとっては悪手だよ。人質に取ったと思ってるんだろうけど、領主に大義名分を与えたと思わないかい?」


「そうかもしれん」


 そして俺達は、置いてあった紙に必要な文章を書き記して、領主邸に対してのアプローチ準備をする。それから、宿屋にチェックアウトする旨を伝えて、領主邸へと向かうのだった。 

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