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ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第五章 半百合冒険

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第401話 捕らえた兵士の自白で見えたもの

 ボロの宿屋に戻ると主人が出て来た。アンナが深くフードをかぶり、変身ペンダントを付けた騎士が、女の姿をしてアンナに背負われている。


「あ、どうしたんだい? そっちの人」


「酔っぱらって、寝てる」


「あ、そうかい。じゃあ水は?」


「いらない。あとこっちでやるから、寝かせとこうかなと」


「わかりやした」


 俺達はすぐ、長期滞在してもいいと言われた部屋に入った。ペンダントを取ると、元の男の姿になる。頭に布袋をかぶせ、椅子に縛り付けた。アンナが、ベッドから枕を持って来て床に置く。


 そして、プチ、ピリピリの電流を飛ばす。


 パシン!


「う、うう」


 アンナがドスをきかせたこえで、男に言う。


「殺されたくなければ、黙って質問に答えろ」


「う……な、なんだ……」


「余計な事はしゃべるな。聞かれた事に答えれば死なずに済む」


「……」


 状況が飲みこめていないらしい。


「いいか、余計な事はするな。ただ、聞かれた事に答えればいい」


「……わ、わかった」


 そしてアンナが、ナイフを取り出す。それをそいつの腕につけた。


「本気だ」


「わかった! 殺すな!」


「よし」


アンナが俺に目配せをしたので、俺がゆっくりと、その男に聞いた。


「どこの騎士だ?」


「……」


 アンナが、スッっと腕を斬る。


「いて! わかった! 言う」


「嘘ならすぐに分かる。嘘をついた瞬間に殺す」


「……わかった」


「ある程度の調べはついている、何処の所属だ?」


「ズーラント帝国だ」


 するとアンナが言う。


「命拾いしたな。正直に言ったおかげだ」


「な、なぜ?」


「お前の短剣の鞘に、国の紋章が小さく入っている」


「そうか……」


 そして俺が、もう一度聞く。


「ズーラント帝国が、東スルデン神国の町で何をしている?」


「連れて来られたんだ」


「連れて来られた? なぜ、国の鎧を着用せずに、町人に紛れてる?」


「それは……」


 口ごもったので、アンナが枕を顔に押し付けて、ドスッ! と太ももを刺した。


「フグゥゥゥゥゥ」


 こっわ!


「すぐ答えろ、躊躇するな。次は腹を刺す」


「フググググ」


枕を取って、もう一度聞く。


「なぜ、町民に紛れている?」


「はあはあ……正式に派兵されてるわけじゃないからだ! 全軍が、動いているわけでは無い!」


「なぜ、正規じゃない?」


「俺達を連れてきた奴がいる!」


「無理やり?」


「なんらかの目的があって、それが上手くいったら、一生遊べるだけの報酬をくれると言ったんだよ! 一生、兵隊でいたくないだろうと!」


 なるほどね。エクバドル王国でやっている事と同じ、騎士を腐らせた上で、利用しているという訳だ。手口としては、どこでも同じと言う事か……。


「で、麻薬を売ってるわけだ?」


「そ、そうだ。正式に出兵した訳じゃないから、資金がいる。国から金が出ている訳じゃないからだ」


 馬鹿正直にありがとう。


「で、その、あんたらを連れてきた奴って、一体どこにいるのかな?」


「いつも居る訳じゃない。突然現れて、指示を出して消えるんだ」


「いつ、何処に現れる?」


「わからない。本当だ! 突然やってきて、次の指示を出していくんだ」


 俺はアンナと目を合わせる。アンナが、スッと腕を斬りつけた。


「本当なんだ! いつ来るかは分からないんだ!」


 どうやら、本当のようだった。


「ふーん。で、あんたらは、どう思ってる?」


「不満が出ている、いつまで麻薬売りをさせるつもりだと。訳の分からない盗賊まがいの奴らと一緒に、行動させるのはなぜだと」


「そんな不満が出ているのに、なんでやってるのかな?」


「直談判した隊長が消えたんだ。突然消えて、もう二度と現れない。その不平を、口にした者もいたが、そいつも消えてしまった」


「殺されたと?」


「そうかもしれん。と、皆が思っている」


「今日は、なんで歩いてた?」


「麻薬を保管している所が火事になって、麻薬を移しださないと誰かがその責任を取らせられるからだ」


「責任?」


「そうだ。へまをすれば、袋にされてしまうからな」


「酷いものだな」


 すると、男はがっくりと項垂れてボソリと言う。


「おとなしく、騎士をやっていれば良かった。なんで、あの時……美味い話に飛びついたのか……」


「間がさしたのだろう?」


「分からない。家族もいるのに……」


 同じだ。もしかすると、ネメシスの力が働いているのかもしれない。


「他に知っていることは? あの、蜥蜴の入れ墨の奴らの事とか」


「あ、あんたら、知ってるのか? 奴らの事を?」


「あれは、陰で動く汚い仕事をする連中かな」


「やっぱり、そうか……」


「あなた方は騙されたんだ」


「……今更だ。国に帰ったところで、国家反逆罪で罰せられる」


「ふーん。逃げれば?」


「だめだ。奴らに殺される」


「なるほど」


 ひょっとすると、東スルデンの兵隊たちも似たような状況だったりして……。


 その男は、それ以上の事は知らないようだった。日々、降りて来る仕事を、必死に奴隷のようにこなすだけの日々を送っているのだとか。


 不憫な事だ。同情もしないけど。


「俺を、殺すのか?」


「いや。殺さない、戻してやるけど、もしこの事を誰かに喋ったら、白状した事をバラす」


「やめてくれ! そんな事をしたら、俺はすぐに殺される」


「じゃあ、騎士達を先導して逃げれば?」


「無理だ。俺は一般兵だからな」


「隊長格がいる?」


「いる! こんな状況でも、偉そうにしているが、アイツらにはペコペコだ」


「わかった。とにかく、誰にも言うな」


「ああ!」


 そして、アンナに目配せをすると、ドン!と意識を狩る。


「捨ててこようかね」


「そうしよう」


 入ってきた時と同じように、そいつにペンダントを付けて部屋を出る。すると主人が声をかけてきた。


「まだ、目覚めないのかい?」


「ああ。だから、川にでもつけて目覚めさせて来る」


「ははは。女の子にあんまり手荒な真似は良くないな」


「そんなにヤワじゃない」


「わかった」


 宿を出て、ジグザグに路地裏を歩いて行く。


「尾行はついていないようだ」


「ここらで捨てるか?」


 ドサ。


ペンダントを取り、俺達はスッと路地に隠れた。再び、微弱なライトニングでそいつを目覚めさせる。


「う、うう……」


 男はすぐ起き上がって、ゆらゆらと歩きだした。俺達は、すぐにそいつの後を追い始める。どうやら、火事の現場に向かっているようだ。


「もう、火事は収まってると思うけど」


「いかなきゃ、マズいんだろう」


俺達がついて行くと、例の商会の火事は収まっていた。焼けた商会の前には様々な物資が並べられて、騎士達が無事な物資を確認しているところだった。


「遅いぞ!」


 男が行って、謝っていた。そして俺達が見張っていると、そこにガラの悪そうな奴らがやってくる。


「アイツら……」


「あれ、足無蜥蜴だろうね」


 間違いなく足無蜥蜴の連中だろう、騎士達は急にぺこぺこし始めるのだった。

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