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ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第五章 半百合冒険

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第399話 スティーリアの屈辱を晴らすために

 服を破かれたスティーリアが、無防備に座っている。アンナは、代わりの服を調達すると出て行った。もちろん、ここは敵地。こんな事を考えている場合ではないのだが、聖女の中の人であるスケベな俺の、邪な気持ちがむくむくと起き上がる。


「ス、スティーリア。大変だったね」


 そう声をかけながら、どうしても目線が胸に行ってしまう。これは……性だ。


「いえ。私は、聖女様を信頼しておりました」


 うう。そうか、そうだな。そうだよね。そんなスティーリアに、邪な気持ちを持ってる俺ダメだよね。うん、だめだ。


「もちろんだよ。私は、スティーリアが窮地に立ったら、すぐに駆け付ける」


「ふふっ。まるで、おとぎ話の騎士様のような事をおっしゃるのですね」


「おとぎ話じゃなくて、本気でそうするから」


「確かに……ソフィア様の時もそうでしたね」


「そう……」


 俺が何のために全力で戦っているのか? それは、可愛い仲間達のため。べつに、世界がどうなろうと知ったこっちゃない。俺に、そんなたいそうな使命感も無い。おとぎ話の騎士とか、毛頭興味がない。


「……聖女様」


「はい?」


「聖女様は、御心に決めた殿方などはいらっしゃるのですか?」


 殿方じゃないけど……そ、ソフィア!


「どうかな……はっきりは分からないけど」


「氷の騎士様や、マイオール様などは、聖女様にご執心なようでございますが」


 あいつら!?? ぶるぶるぶるぶる! 全身に怖気が走る。


「無理」


「えっ?」


「あ、いや。私の好みではないかな」


「そうですか。では、他に?」


「まさか。まあ、そう言う意味なら、いないという感じかな」


 誰よりも漢らしいアンナが、俺の側にいるしね。というか、聖職者のスティーリアらしくない質問だ。今度はこちらから、質問をする。


「何か気になる事でも?」


「今日、私は純潔を散らすのかと思いました」


 たしかに、まだ俺の怒りは収まらない……。


「ああ。本当に許せない」


「はい。だけど、もしそのような事になったら……私は生きてはいけないと思いました」


 思いつめたような表情になるスティーリアに対して、俺は、こんな作戦に引き入れた事に責任を感じ、申し訳ない気持ちになる。ガシッと手を掴んで、スティーリアに言う。


「だめ」


「はい?」


「何があっても、死んじゃダメ。スティーリアは、ずっと私の側にいて」


「聖女様……」


 そうか……男にやられそうになって、考えちゃってたんだね。可哀想に。


「ずっといて」


「は、はい……」


 そんな健気な表情を見ていると、グッとくるものがある。


「す……ティーリ」


 グッと抱き寄せようかと思った時だった。


 ガチャ!


「戻ったぞ!」


 ビクゥゥ!


「は、はいぃぃ!」


 何か微妙な空気が流れたが、そう思っているのは俺だけか?


「ど、どうした? 聖女」


「い、いや。大丈夫」


「まずは、スティーリア。服を手に入れた。着れるか?」


「ありがとうございます。アンナ様」


 その服は、町娘のような質素なものではあるが、かえって目立たなくていいだろう。と思っていたら、スティーリアは俺の前でガバッと服を脱ぎ始めた。は、恥じらい関係は、どうした? 少し強くなった?


 おっ、おう……。


 もちろん女しかいないのだから変じゃない、だが、もろに胸のふくらみの先っちょが見えてしまうと、じーっとてしまう。その目線に気が付いたのか、ちょっと意識したスティーリアが向こうを向いた。


「失礼をいたしました。はしたない真似を」


「いや。いいんだ。こういう時は、そんな事言ってられないからね」


「はい」


「みんなも心配だなあ……。大丈夫だろうか」


「一度、動き回るのを止めた方がいいだろう。いまごろ、教会では大騒ぎだ」


「まあ、アデルナたちはギルドで伝えたから大丈夫。ソフィアたちは、領主邸に入り込んだみたいだし、シーファーレンはまず問題ないよ。ただ、ウェステート、マロエ、アグマリナは、こういうことは初めてだから怖いだろうなあ」


「まあ、シーファーレンが付いているから、まかせるしかないだろう」


「だね。となれば、ソフィア、領主邸組か? 伝えないとね」


「ソフィア様。ミリィ、ヴァイオレットと、リンクシルか。リンクシルは、三下に後れを取る事はない。それに、ソフィア様がついていれば、下手な動きはすまい」


 アンナのいう通りだろう。スティーリアが少し頑張りすぎただけ。こちらがドタバダと動きだしたら、かえって危険度が上がってしまう。


「シーファーレンかな。彼女にコンタクトをとって、この出来事を伝え、皆に伝えてもらう事にしよう」


「どこにいるだろうか?」


「いや。私達が動けば、あっちから近づいて来るよ」


「なるほど」


 スティーリアが申し訳なさそうにしているが、俺もアンナも、もう対策を思い浮かべていた。


「とにかく、スティーリアはよくやった。うまくタネをまいてくれたよ」


「タネ。ですか?」


「そっ。だから、私と、魔道具の変身ペンダントを交換しよう」


「えっ?」


「いや。そのペンダントの顔がバレたから、きっとあの黒幕は狙って来る」


 それらのペンダントは、ヴィレスタン城の召使たちにつけている。だから、交換すればその人になる。その顔が敵にバレたとなれば、あの殺害現場を見た奴らは、血眼になって探し出すだろう。


「それでは、聖女様が危険です」


 俺は首を振った。


「それが狙い。私が狙われると非常に都合がいい。スティーリアは、ここで大人しくしてもらおうかな」


「ですが……」


「命令」


「はい」


 そして俺は、自分の変身ペンダントをスティーリアに渡し、スティーリアのペンダントをもらう。


「ふぅ……」


アンナが軽く息をついたのを尻目に、俺が言う。


「さてと、アンナ。いっちょ、やりますか」


 俺が言うと、スティーリアが俺にしがみつく。


「無理だけはなさらずに!」


 だが逆に、アンナがフルフルと首を振った。


「いや。スティーリア、聖女は……キレてるんだ。奴らがスティーリアに、手を出したから」


「私に……?」


「……こうなったら、わたしでも止められない」


 なるほど、どうやらアンナは俺を良く分かっているらしい。スティーリアに手を出した連中はおろか、あの麻薬を仕入れている商会と、それに連なってるであろう足無し蜥蜴の連中。


 ぜっっったいにゆるさん!!!


「アンナ。スティーリアやみんなが見つけてくれた蜥蜴の尻尾だ。確実に追い詰めてやろうじゃないか」


「そういうだろうと思った」


 俺はスティーリアに向き直り、頭をなでなでして言う。


「スティーリアが、危険を冒して見つけてくれた敵だからね、あとは、しっかりとっちめてくるからね。なーんにも心配する事無いよ、スティーリアに、あんな怖い思いをさせて許されるはずがない」


「せ、聖女さま……」


「暗くなるのを待って、ちょっと運動して来る」


 そしてアンナが、スティーリアに言う。


「大丈夫だ。何かがあっても、わたしが聖女に指一本触れさせん」


「アンナ様。お願いします!」


「ああ」


 そうして俺とアンナはシーファーレンに会うために、フードを深くかぶって宿屋を後にするのだった。

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