表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/59

14 ゾンビが来る


 俺たちの街の近くに突然森が出現した。

 近くまで行って確認したが、ただの深い森に見えた。

 人の手が入っていない原始の森のようだった。


 一応、ホビットたちには、あまり近づかないようにと言ってある。

 たいした脅威はなさそうだと思っていたのだが……。



「ヒィィィ、領主様ぁぁ!」


 ある日、血相を変えたホビットが、森の方角から自転車を飛ばしてやって来た。

 森の方面を警戒していた魔狼たちも、その後からついてくる。

 よくよく目を凝らすと、彼らのはるか後方から、何か集団が歩いて来ている。


「人? に見えるが、違うかな」


 パッと見た感じ五十人ほどの一団だ。

 しかし、人にしてはややぎこちなく、ちょっと足並みがバラバラすぎる。

 怪我人だらけなのか?


「領主様、ゾゾゾ、ゾンビです!」


 息を切らせて駆け寄ってきたホビットが、なんとか言葉を絞り出す。


「なにぃ、ゾンビだと?」


 バンパイアの俺が言うのもおかしいが、まさかそんなものまで出てくるとは。

 そういえば以前は、ゾンビ物の映画とか結構好んでみていたな。

 どちらかというとホラー映画というより、サバイバル物の一種としてみていたと思う。あんなものを怖がれといわれても困るしな。

 真面目に考えると、ゾンビなんか脅威でも何でもないし、ウォー〇ング〇ッドなんかでも、結局人の敵は人だったし。



「本当にゾンビなんだろうな? 歩く死体のゾンビなのか?」


「そうです。確かにゾンビです、領主様」


 他のホビットたちも集まってきた。


「「「キャァ! ゾンビだぁ!」」」


 ホビットたちは真面目に怖がっている。

 俺はゾンビ物では言ってはいけないセリフを口に出す。


「あいつらもともと死んでるんだろ?

 すでに死んでる奴を殺せるのかな?」


「どうなんでしょうか……」

「けど、もっともな疑問ではありますね」


 そうこう言っているうちに、ゾンビの集団は俺たちから三十メートル先ほどまでやって来た。どう見ても話し合いに来た、という感じではない。

 

「ウガー!」「アゥアゥ」「ゥゥゥゥゥ……」「ガゥガゥガゥ」


「それ以上近づいたら、ぶっとばす!」


 奴らには意味ないと思ったが一応警告して、愛用のロングソードを構えた。

 しかし、奴らには俺の言葉が耳に入らないのか、一瞬たりとも止まる様子を見せず、ゆっくりと俺たちの方に近づいてきた。


「だよなぁ。じゃぁ仕方がない」


 俺は素早く奴らの懐に踏み込むと、力任せにロングソードを横に一閃。先頭にいた十体ほどの首を、いっぺんに飛ばしてやった。

 ザシュッ! ボトボトボト……


「「「キャァ!!」」」

 

「うわっ! 臭っ! やっぱり中身が腐ってるんだな……」


 辺りに強烈な腐敗臭が充満した。

 いつもは威勢の良い魔狼たちも、今日ばかりは後ずさりしている。傍らのポチを見ると鼻をそむけて、ものすごく嫌そうな顔をしていた。

 確かにこんなのを口に入れたくはないよなぁ。

 悪食の俺でも、こんな連中の血はぜったに飲みたくないし。

 ホビットたちはさらに十メートル以上後退した。


 ゾンビたちは先頭集団が目の前で倒されても、全く気にする様子もない。

 いままでと同じペースでゆっくりと前進してくる。


「しょうがないな、面倒だから全滅させるぞ」


 俺はゾンビたちの首をサクサク狩って、とりあえず片付けた。

 奴らは頭と体を切り分ければ死ぬっぽい。

 首だけでも動くとか、首なしでも動くとか、そういうことはなさそうだ。

 バタ〇アンタイプだったらヤバいが、こいつらはただ汚いだけの(まと)だな。

 自慢のロングソードは腐肉と腐った脂でベットベトだ。


「あぁ、俺のエクスカリバーが(けが)れてしまった……」


 ドワーフ謹製の業物をそのままにはできず、丁寧に掃除をしてから鞘に戻した。

 問題はそこら中に散らばる腐乱死体の山。

 俺たちは臭さに泣きながら、死体を一カ所に集め燃やしてやった。


 あらかた作業が終わったころ。

 ホビットの一人が絶望的な顔で森を指さして叫んだ。


「りょっ、領主様! また来ました!」


「えぇぇ……」


 俺は心の中で泣いた。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ