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勝利したけど...

「...はっ!?」


 私はオラビスが目覚めるのを待っていたので声をかけます。


「気がついた?」


「【弱体術師】の嬢ちゃんか...。いや、そう呼ぶのはもう悪いな。えっと...」


 そう言われたので私はもう一度名前を名乗りました。


「愛川結美」


「結美の嬢ちゃんか。OK覚えた」


「...その嬢ちゃんってのやめない?」


「悪いがそれは無理な相談だ。だがさっきの戦いで俺はお前を認めた。お前の命令ならある程度聞いてやるさ」


 少しは眷属者らしくなってきましたが、ここで一応私の方からこう言っておかないといけませんね。


「ええ、それは良い心がけね。でもまああの試合は実質無効試合でも良いのよ?」


「なぜだ?」


「それは...」


 私はグラスレイのことを話しました。


 しかし、それを聞いた彼はこう返してきます。


「それは別に結美嬢ちゃんの使い魔なんだろう? だったらそれを使っても結美嬢ちゃんの勝ちでいいじゃねぇか」


「いや、それだと私の気が収まらないの。また今度誰も見ていない場所でグラスレイ無しで相手をしてあげるから、その時の結果で私の事を認めるか決めてほしいわ」


 しかし、私の言葉に彼はこう答えました。


「いや、仮にグラスレイって奴を使わなくても俺と五分以上の戦いをしていたんだ。俺は結美の嬢ちゃんを認めるさ」


 そう呟く彼の表情は清々しいものでした。


「そう? じゃあこれからよろしくね」


 私はそう呟くと彼の病室から出ていくのでした。

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