王亡き玉座
『1時間が経過しました。ダンジョンボスの部屋へと移動します』
俺が転移させられたのはどう見ても玉座の間だった。
とは言っても王の姿はなく、その前に静かに鎮座しているのは紅き鎧を着込んだ1人の騎士だった。
今まで出会った騎士達よりも明らかに上質な鎧を着込んでいるそいつは俺を見てこう呟いた。
「この王城ドレイクに挑戦せし者はお前か? 王亡き今この私【血染めのグレイン】が汝が我らを束ねる新たな王に相応しいか見極めてやる!」
そう言いながら剣を構える。
(嘘だろ!? あんな強そうな奴と一対一で戦えと!?)
そう思っているとメニュー画面が開き『ここからは使役モンスターを選び指示を出しながら戦い【血染めのグレイン】に貴方の力を認めさせてください。使役可能魔物(0/1)』
(使役可能魔物(0/1)だと? まさか1匹の魔物だけで戦えってことか!?)
重苦しく剣を地面に叩きつける奴の仕草を見ていると、すかさずに魔物を召喚した。
俺が選んだのは...。
「こいっ! ミルティ!!!」
だった。
「およっ?」
いきなり俺に呼び出されたことで戸惑っている彼女だったが、目の前に存在している【血染めのグレイン】を見て興奮していた。
「なんだあのかっちょいい奴は!?」
「話は後だ! まずは一緒のあいつを倒すぞ!」
個人的な戦闘能力では1番高いであろうミルティを選んだ俺の判断は間違ってないだろう。
「...使役する魔物を選んだな。では行くぞ!」
騎士道精神と言う奴だろうか? わざわざ召喚するのを待っていてくれたとは嬉しいね。
そして奴の一撃を木刀で受け止めるミルティ。
それが戦闘開始の合図になるのだった。




