レギン=フィオエル②
レギンはコツンと靴音を鳴らすと愛川の方を眺める。
「私は愛川結美の声が好き。見た目が好き。髪色が好き。笑顔が好き。生体が好き。愛のある生き方が好き。ふと見せる表情の全てが好き。特に高坂和希にだけ見せる本当の笑顔と他の凡人に見せるゴミを見るような目の落差が好き。遺伝子が好き。愛川結美は完璧で無敵な超人なのに小鳥遊優樹と言う平凡な凡人を嫉妬する汚い心が好き。高坂和希の為にならどんなことでも平気で行う器量を持っているのが好き。誰にでも分け隔てなくスマイルを維持できるのが好き。才能があって金持ちである事を全く他人にひけらかさないのも好き。血液が好き。好き好き、好きすぎて頭がどうにかなってしまいそうになるくらい好き♡」
と狂気じみた瞳で愛川のことを見ているが、愛川はそれを見てゲンナリしている。
「...変態ですね」
(お前が言うな!)
俺は思わず心の中でそうツッコんでしまった。
レギンは続けてこうも呟いた。
「でも...。高坂和希が好きな愛川結美が嫌い。私に愛をくれないのが嫌い。私を他の凡人と同じに扱ったのが嫌い。私の気持ちに全く答えてくれないのが嫌い。完璧で超人なのに高坂和希と言う凡人に恋焦がれる愛川結美が嫌い。嫌い嫌い大嫌い。嫌いすぎて今にも貴方の苦しむ顔が見たい♡」
「...本当の変態さんですね。カズ君。こんな変態はさっさと片付けてしまいましょう」
容赦なく最強魔法をぶつけようとする愛川にウィンクをするレギン。
「いいね、どうせなら貴方に殺されたいわ。愛川結美。ちなみに私を殺した者が次の調停者になる資格を得るからね」
さらっと大事なことを呟く奴の声を聞いた瞬間に俺は愛川の攻撃を防ぐのだった。




