蜜香の実家
俺たちは蜜香の実家に向かうと驚いた。
「...ここだよな?」
「うん。カズ君。間違ってないと思うよ」
そこは明らかに大きな神社だった。
別に初詣でもないのに参拝客がちらほらいる程度には大きい。
駐車場もかなり広いし、控えめに言って立派な神社である。
俺たちが車から降りると、何故か巫女服に身を包んだ蜜香が現れた。
「あっ! 高坂さんに愛川さん! それと...誰ですか?」
真菜とミルティに視線が合ったので紹介する。
「黒髪の方が俺の妹で真菜って言うんだ」
「黒木さん...であってますよね? 高坂真菜です」
「高坂さんの妹さんか〜! よろしくね真菜ちゃん」
「そんでもってこっちの口うるさいのが...」
「ミルティだ! 和希の使い魔やってる!」
むふ〜っと喉を鳴らす彼女を見て「よろしく」とだけ呟く蜜香。
「そんなことよりも私達を強くする事ができるんだよな!?」
興味深々に早口で言うミルティの問いに答える蜜香。
「はい! そうなんですよ! 実は私の実家であるこの黒木神社でゲート発生後に不思議なことが起こったんです!」
「不思議な事?」
「ハイっ! 一定のレベルがきた【覚醒者】の皆さんを更に強くする事ができる【昇格の儀】を行う事ができるようになったんです!」
「【昇格の儀】? こういうのって下級職が上級職になったりするあれか?」
「いえ、単なる昇格なので職業を変えたりはできませんが、今就いている職業の上位版になる事ができますね」
「条件は?」
「レベル20以上ですけど。できれば30くらいまで育ててから昇格した方がステータスの伸びが良いそうですよ。慌てる必要がないのであれば30まで上げてからの方をオススメします」
「なるほど、最近会えなかったのはこれの準備に追われていたからなんだな?」
そう聞くと彼女はコクリと頷くのだった。




