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全員でゲート攻略③

「次はお前か。なるほど...、確かに素晴らしい剣士のようだが最近まで剣を握っていなかったな? お前の重心の掛け方から見てブランクがあるように見える」


「...やっぱり分かっちまうか」


 一流の剣士ともなれば相手がどれほどの達人でブランクがどのくらいあるのかも一眼で分かるのである。


 しかし、今の俺からすれば手頃な練習相手が目の前にいると言うのも事実だ。


 ゆっくりと構えると俺の方から挨拶をしに向かう。


 剣を振り翳しながら奴の一撃を盾で受け止める。


「ほう、やるな」


「...お前もな」


 俺の剣撃に対して奴は身を捩り躱す。


 その後幾度か剣を交えたが、勝負は着きそうにない。


「...なるほど、貴様どこかの世界の勇者だな?」


「ああ」


「くくく。貴様のような勇気ある者と戦えることを誇りに思う。お前ほどの男がなぜ【帝王】の僕をやっているのか知らないが、一つ忠告しておいてやる。他の3人はともかくそこの桜色の髪を持つ女にだけは気をつけておけ。そやつらの欲望は深淵よりも深き黒の世界だ。いつか飲まれるぞ?」


「そんなことお前に言われなくても分かってるさ。既に2度経験済みだ」


「...ほう。人生の終わりを2度も体験しているとは...。貴様も俺と同じ人外のようだな」


「人外...か。確かに。お前の言う通り俺たち勇者はもはや人ではないのかもしれないな」


 俺は自分の肉体が人のそれではなく勇者という世界を守る為に生まれてくる存在に変質していくのを感じているのだった。

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