5手
奴を倒すには4手では足りない。
5手めが必要だと理解した俺は次の手に出る。
定期的にデバフをかけるのだが、やはり全て奴の魔法で解除されてしまう。
だからこそ、そこを付くしかないと思うのだ。
「行くぞ!」
俺の掛け声と共に全員が特攻を仕掛ける。
「全員でかかってくる気か? 良いだろう。相手になってやる!」
相変わらず4手目までは簡単に返されるが、そこですかさず俺はデバフを放つ。
「このタイミングでデバフか! 【光の波動・小】」
(ここだ!)
すかさずデバフ対策を行うやつに追撃の一撃を与える!
「今だ! 真菜!」
瞬時に奴の背後に回った真菜が短剣を扱い奴の【鏡の盾】を叩き割った!
「なっ!?」
驚く奴に結美が魔法を叩き込む!!!
「じゃあね。変態さん。【ハイ・ダーク】!!」
先ほど放った闇魔法を放つと、奴も慌てて魔法を放つ!
「ら...【ライト】!!」
詠唱時間が足らなかったのだろう。
【鏡の盾】を失った奴は下級の光魔法で押さえ込もうとするが、それは不可能だ。
攻撃魔力なら結美の方が明らかに上回っている。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
闇に飲まれていく伊藤の姿は傑作だ。
ざまぁとしか言いようがない。
闇が収縮し、その中から焼き焦げた奴の姿が見えた時に勝利を確信したのだが、その時になって後ろから声が聞こえてきた。
「全く、1人で大丈夫だとか言っていた癖に油断しやがって」
俺が後ろを見てみると、そこには高橋の姿があるのだった。




