【世界の叛逆者】
「ぐっ! マスターの意識が完全になくなったせいで我はドレイク城へと戻されるのか!?」
「和希!!!」
アピスとミルティはそう言葉を残すと瞬時に消え去り、この場には私と【大帝】のみが戦える状態で残っていた。
「あらら。後は貴方だけだね」
そう呟きながら彼女は私の方に近づいてくる。
「まあそんなに悲観しないで。人間はどのみち全員殺すから。遅かれ早かれ皆死ぬ運命だったの」
「どうして?」
「ああ、人間は【大帝】であるこの私を怒らせた。ただそれだけのこと」
微笑を浮かべながら私の体に向けて魔法を放とうとしている彼女。
「どうしてカズ君に攻撃したの?」
私はギロッと彼女を睨みつける。
「どうしてって聞かれても、その子が勝手に飛び出してきたからと言う事と、私の城に足を踏み入れたという事、後は私の機嫌が悪い時に視界に入ったという事かな。まあ、天災にあったのだと思ってこの世界の人間を恨みながら死ねばいいと思うよ。悪いのは私を利用しようとしたこの世界のクズ人間共だから...」
彼女の魔力がどんどん上がっていくのが分かる。
このままでは私も死んでしまうと思ったが、それ以上に目の前の存在が許せなくなった。
「カズ君をこんな目に合わせたのは貴方?」
私がそう呟いた時だった。
『生命の危機を確認。【調停者との契約】により一時的に個体名【愛川結美】の能力制限を取り払い【弱体の魔王】と【世界の叛逆者】の全能力を解放します』




