東京都最終決戦!!!⑨
「...遠吠えは一人前だな」
「そうだろうな。高坂君にはこれが僕の最後の言葉に聞こえたか?」
「いや、だがもう勝敗は決してるだろう? 悪いが決着を急がせてもらうぞ。二階堂!」
俺が拳を構えると奴も拳を固める。
「最後は男らしく肉弾戦って事かい?」
「...まあそんな所だ」
俺と二階堂はそのあと魔力を込めた拳で殴り合った。
お互いにノーガードでただただ殴り合う作戦もへったくれもない殴り合いだ。
とにかく殴るだけなので何も言うことがない。
全身に痛みが走るのを耐えながら、お互いの体力が尽きるまで殴り合う。
まるで野生の動物の争いのように感じた。
愛川結美という女子を巡る雄同士の戦い。
そこだけは打算も計画性もない。
ただただ美しい自然の摂理だ。
なぜだろうか? 二階堂と言う男そのものは好きになれないが、今のこの状況だけを見ると奴の拳にも熱いものを感じてしまうのはきっと同じ男だからこそ得る事のできる何かだろう。
「「うおおおおおおおおおお!!!!!!」」
お互いに力尽きるまで殴り合った結果...。
「...俺の勝ちだ。二階堂」
「...僕の負けか」
俺がふらつく足のまま地上に立っているのだった。




