和希VS森虎⑧
「...ぐっ! お前ら! 何とかしろ!」
と真菜と蜜香を俺に差し向けてくる森虎には呆れる。
「お前はなぜ自分で戦わないんだ?」
「俺は後方から人を使う方が向いているのさ」
そう自信満々に言い出す彼に俺はこう言った。
「嘘だな。お前は自分が傷つくのがただ怖いから後ろの安全圏で楽しんでいるだけに過ぎない卑怯者だ。反撃してこない相手と動けない相手しか殴れないようなら一生刑務所で生きていくんだったな」
俺の言葉が気に障ったのか彼は大きな声で「殺してやる! 和希!!!」と叫び出した。
真の力を解放した森虎は確かに強い。
普通の【覚醒者】であれば恐らく手も足も出ないだろう。
しかし、今の俺なら...。
「お前ら! 和希の足を止めろ!」
そう叫ぶと真菜と蜜香はコクリと頷きながら行動を開始する。
蜜香が国会議事堂の地面を軟体物に形質変化させて俺の足を奪い、そのまま真菜が背後からバックアタックを仕掛けてくる。
更にその上で森虎が真正面から【オメガ・ダーク】を放ってきた。
「はっ! 足が動かなくてこの3連攻撃を躱せるか!? 和希!」
勝ち誇ったかのようにそう叫ぶ彼を見て俺はニヤリと笑うのだった。




