【龍の盟約】③
「では始めるぞ。お前の配下になる事が【調停者】との約束なのでな」
勝手に話を進めようとしている彼女に俺は聞いてみた。
「待て待て待て! 何勝手に話を進めようとしてんだお前は! 大体【調停者】って誰だよ!」
そんなに俺の質問に彼女は答えを返さない。
「黙れ人間。我が奴に言われていた事は1つ。奴の眷属であるお前の配下に加わり伴侶として支えろということだけだ。分かったら我との盟約に答えよ」
急に態度を改める彼女の対応に俺は完全にペースを握られていた。
「盟約?」
「そうだ。我と盟約を結び一生を共にすると誓え」
その言葉に俺は一瞬嫌な気配がした。
「なあ、べつに盟約を結ぶのはいいが、俺には既に将来を約束しあった人がいるんだが...」
と言う俺の声に彼女は嬉々として答える。
「別に構わないだろう。お前は我という深淵龍を伴侶に迎えられる男だぞ? 好きなだけ別の♀の体も味わうと良い...」
「いや...そうじゃなくて...な」
「なんだ? 申してみよ」
「いや...その...アピスお前死ぬかもしれないぞ?」
「ハハッ! 我を殺せる人間なんぞ存在するものか! いるとすればお前のように【調停者】の眷属のみだろう」
(愛川って言う狂気染みた俺のガチファンみたいなのがいるとか言えないよな...。アピス。お前死ぬかもしれんぞ?)
俺とそんな盟約を結ぼうとしている彼女の未来やいかに!?




