大山 雄太③
「しっかしまあ、互角の戦いって楽しいな!」
俺を追い回しながら何度も攻撃を続けてくる奴の動きにも大分慣れてきた。
「なんだ? 戦いが好きなのか?」
「ああ! 勿論さ! お互いに極めた技でぶつかり合う! これこそ男のロマンだろ!」
「確かにな....。一理ある」
俺も昔はトレーニングジムで沢山筋肉トレーニングしてたからな...。
まあ、今でもたまにトレーニングジムにはいくんだが、俺がいくと以前よりも筋肉たっぷりのむさい男に声をかけられることが多くなってちょっと行くのが面倒になったんだよな〜。
男の時には全く声をかけられなかったのに何でだろうな?
俺はトレーニングしている時は自分のペースで好きなようにやりたいのだ。
声をかけられながらだと上手いこと集中ができなくて効果が半減しているような気がする...。
それに以前は筋肉になっていたのに、今は筋肉にはならず、鍛えると強化ステータスとしてステータスの値が大きくなって強くなるだけと言う非常に地味な物に変わってしまったのも萎えたのだ。
まあ、トレーニングすると確実に強くなっているのはわかるし、新しいEXも手に入るのだが、筋肉が付かないとなんかやっぱり実感として湧きづらい...。
それでも汗を流すのは相変わらず嫌いではないのでたまには行くんだけどな。
と、余計な話はここまでだな。
奴が鼻歌を歌いながらこっちに近づいてきなながらこう呟くのだった。
「楽しいけどそろそろ決めなくちゃな。佐藤」
「なんだ?」
「お前は見た目は女だが、志は間違いなく男だ。だから...、簡単に死んでくれるなよ?」
その言葉と同時に彼の闘気が高まるのを感じるのだった。




