大会②
「な...! なんで結美がここにいるんだ!?」
思わず声がうわずってしまうが、実際相当驚いている。
「えっ? だって最近佐藤と一緒にここに寄ってたじゃない。あんなに楽しそうなカズ君見てたらさ、私も付き合いたくなったんだ♡」
そう言いながら超高レートのデッキならぬ札束を握る彼女。
彼女のデッキはとんでもない札束なのである。
意味もなく効果の同じただ高いだけのカードを沢山詰め込んだ富豪デッキなのだ。
およそ500万程はするだろう。
ちなみに普通のレートで同じデッキを組めば大体5万程度だ。
彼女曰く投資だと言っているが、流石にここまで高くなったコレクションカードの類いを実践で使おうとは思わないな...。
と言うか傷でもついたら一発で価値が大きく下がると言うのに、それをプレイ用にするなど正気の沙汰ではない。
一応3重スリーブにはしているのでそう簡単に傷は付かないんだがな...。
それでもやっぱり気になるのは気になる。
まあ、来るのは良いんだが、佐藤といい結美といい、絶対にカードなんかやらないであろう美少女の登場に会場がざわめいていた。
「なんだ? あの子?」
「めっちゃ可愛いじゃん!」
「ちょっと声をかけてみるか?」
「やめとけ、相手にされねぇって」
「でもカード持ってるしプレイヤーだよな?」
「ピンク髪の方は知らんが白髪の子は最近見るようになった子だよ」
「へぇ...、でもあの黒髪の男は?」
「さあ? 彼氏...にしては冴えないよな? 友達か?」
「あんな美人と可愛い子の友達がいるとかいいな〜」
なんて声が聞こえてくる中、この前のキモオタが佐藤に声をかけてくるのだった。




