獣王墜つ
「行けぇぇ!!!」
「「「「「うぉぉぉぉ!!!」」」」」
使い魔皆の集中放火を受けた奴はついに膝を突く。
「見事だ...。人の子よ。いや...魔物も混じってはいるが使役していたのはお前であろう?」
そう言いながら俺を見てくる獣王ダラーン。
「...そうだ。遺言くらい聞いてやるぞ?」
「ふふっ。肝が据わっておるな。これだけの豪の物達を従えるとはやりおる。そんなお前に頼みがある」
「頼み...?」
彼はそう呟くと砂漠の奥を指差した。
「どうか、あいつをお前の配下にしてくれないだろうか?」
「あいつ?」
俺が首を傾げると彼は頷いた。
「ああ。ラセル・メイ・ダラーン。我の娘だ」
「...はっ?」
いきなり意味不明なことを告げられる。
「なんなら娶って欲しい。お前の実力は我が十二分に理解した。思えば此度の戦闘も娘にふさわしい男児を探す為の物だったしな...」
(...これだけ大規模な戦いを押しつけて置いて、その理由が娘に相応しい男児を探すことって)
俺は思わず絶句してしまう。
「娘は気難しい性格をしているが、どうか頼むぞ」
「おいっ! 馬鹿っ! 死ぬな!!!」
(死んだら絶対面倒押しつけられる!)
そう思った俺が神官兵を召喚したのだが、時すでに遅し。
ダラーンは息絶えているのだった。




