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幼馴染
「和希」
「んあっ? ◯◯か」
緑髪の眩しい普通の女の子が俺の前に立っていた。
「...もしかして辛かったの?」
「何が?」
いきなり意味不明な言葉をかけてくる彼女に俺はそう返す。
「だって...血が出てるよ?」
彼女はそういいながら俺の右手を指差した。
「ああ、いいんだよこんくらい。あの子が助かって良かった」
犬に襲われていた小学生を助けた時に負傷していたのである。
「でもまあ、格好つかねぇよな。結局女の子であるお前に助けてもらったし...」
その言葉に彼女は笑う。
「にしし〜。まあいいんじゃない? 私人助けしている時の和希好きだよ」
「そうか?」
「うん! 大好き! 和希は人助けしている時が一番輝いて見えるよ! その優しさをずっと忘れないでね! 私との約束だよ!」
彼女はそう言うと俺に指切りを強要してきた。
「...しょうがないなぁ、出来るだけ善処するよ」
俺は呆れた表情をしながらも、彼女の笑顔を眺めているのだった。




