オークション②
「ではスタート値段30,000$からでございます」
(30,000$!?)
俺は目を疑った。
つまり日本円に換算すると大体400万行くか行かないかである。
いきなり高レートスタートだが入札は少しずつ入れられていた。
「30,100$」
「30,150$」
徐々に値上がりを見せる様はまさしくオークションそのものだ。
「結美、どうするんだ?」
俺の言葉に余裕そうな笑みを浮かべる彼女。
「まあ、勝手にやらせといたらいいよ。最後の最後まで待ってから少し高めの金額をドーンとすればいいのよこう言うのは」
と貫禄のある声を言い放つ彼女は完全に百戦錬磨の強者のように見える。
「余裕だな」
「まあね。カズ君に私の気前の良さを見て欲しいから」
そう言いあっているオークションも競り合いが弱くなってきた。
「32,000が出ました! 他にはいませんか?」
周りの声が小さくなるのを聞いた結美が大きな声で金額を告げた。
「35,000$!」
その声に会場が驚いていた。
いきなり躊躇なく40万近く価値をはね上げられたらそりゃ誰でも驚く。
「35,000が出ましたが...、他にはいませんか?」
明らかに意気消沈する会場を尻目に金を渡す結美。
まあ、これだけ気前良く上げられたらもっと資金があると思ったのだろう。
誰もその後入札する事はなかった。
「ではこちらの方に【邪王のローブ】を進呈させて頂きます!! おめでとうございます!!!」
そう言いながら金を受け取りながらローブを結美に渡すスタッフ。
「ありがとう。これでカズ君の役にもっと立てるね」
そういいながらウィンクをする彼女に俺は苦笑いをしているのだった。




