欲張り野郎
「あいつはね、私たちともう一つのパーティに素材を一つも渡さないとか抜かしたのよ。確かに1番貢献度が高かったから1番多く素材を取るのは分かるわ。でも今回の貴方達のように殆ど全部1人でやったわけじゃないし、なんなら4分の1くらいは頑張ってたのにね」
「ふ〜ん...」
メイラーズのリーダーが呆れた声をあげていると、今度は『クロウズ』のリーダーが声を上げた。
「ああ【正十字学園】の伊藤だな。あいつは有名人だけどさ。会ってみたら心底腐ったやつだったな。仲間を盾にして見たり、目的の肉食獣を誘き寄せる為に仲間に肉を全身に身につけさせて走らせたりしてて流石にドン引きしたわ。それに俺の時も報酬の殆どを独占しようとしてたしな。飛んだ欲張り野郎だったぞ」
そう聞いて俺もため息を出した。
「実は俺もあいつにはやられていてな。最初はダンジョンに置き去りにされて死にかけたし、次はクリアしてはいけない有益なゲートをクリアした罪をなすりつけられたんだよ」
それを聞いた2人は「あ〜」と納得したような声を上げた。
「あれって高坂のチームだったのか。いや最初っから怪しいとは思ってたんだ。お前みたいなやつが有益なゲートを私益の為にクリアするのかってな。今のを聞いて伊藤の仕業だと言われてもなにも驚くことがないな」
「ええ、私も『クロウズ』のリーダーの意見に賛同するわ」
俺たち3人はその後、報酬の話そっちのけで伊藤の悪口会を楽しむのだった。




