挑発
結美が伊藤を挑発したことにより空気がピリピリし始めた。
「なんだと? 俺が社会のゴミ?」
「ええ。あなたなんてカズ君の足元にも及ばないゴミです」
はっきりと言い渡す結美を俺は宥める。
「結美やめとけ、伊藤をどうにかするのは今じゃないだろ」
小声でそう呟いたのだが、彼女はそう言った意思を示さない。
寧ろ今ここで伊藤を叩きのめそうと言う目をしていた。
ここで伊藤を倒してもそこまで意味はない。
寧ろ何か罪を起こした時に叩きのめした方が現場証拠になってより良いと思うのだが、結美はもう抑えられない様子だった。
「あなたは自分が特別な人材か何かと勘違いしているみたいですが、あなたはカズ君より格下の人材です」
その言葉に血が沸騰寸前の伊藤は重苦しい声を静かに上げる。
「なに? もういっぺん言ってみろ...。俺がそこのゴミクズと比べて格下だと? お前が愛川グループのご令嬢だとしても潰すぞ?」
ふふんと笑いながら結美は伊藤を見下すように視線を動かす。
「何度でも言ってあげる。あなたはカズ君より格下の人材...いやゴミです」
その言葉が引き金となり武装をアイテム欄から装備し始める伊藤。
「その喧嘩...買った」
「...ひっ!」
伊藤が戦闘体勢に入った瞬間に怯え始める伊藤彼女。
完全に結美の挑発に乗った伊藤はフル装備のまま戦闘を開始するのだった。




