目的地
「松林さん! どこに行くんだ!? この騎兵は疲れ知らずだが俺の命令しか聞かないんだ。松林さんに合わせるから行きたい方角を言ってくれ」
「う...うむ!」
いきなり快適な歩行モンスターを出されて困惑したのだろうが、そろそろ平常運転に戻ってほしいな。
蜜香の砂の傘と結美の水による直射日光からくる暑さの低減、そして騎兵に騎乗したことにより地上から来る熱波にも対応している。
俺たちは知らず知らずのうちに砂漠でも楽に移動できる技術を学んでいたのだ。
そんなこんなでトントン拍子に進んでいく俺たちの前にオアシスっぽい場所が出てきた。
(まさに絵に描いたようようなオアシスだな)
カラカラの砂漠の中に存在する緑と水のあるオアシスを発見したのだが、松林さんは「止まれ」と指示を出した。
「止まれ」
俺の号令と共に騎兵は歩みを止める。
「資源がありそうだが、あれは明らかに露骨すぎるな。少し様子を見てみよう」
そう言いながら双眼鏡であたりの様子を調べる松林さん。
暫くすると水を欲した生物が水を飲みにオアシスへと向かう。
「...? 今木が動いたような」
蜃気楼のせいだろうか? 一瞬木が動いたように思える。
しばらくするとその生物が水を飲み始めた次の瞬間!
バグっ! とオアシスに擬態していた大型の生物が姿を現した。
生でこう言うシーンを見た俺は少し感動してしまう。
(こう言う奴狩りゲーにいそうだな)
そう呑気に思っていると、新たな獲物を見つけたとばかりにこちらに向かって砂海を泳いでくるのだった。




