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後書き

「...ふぅ」


 俺はとある画面を眺めながらそうため息を吐いた。


「兄ちゃん...、本当にこれでよかったの?」


 そう声を出すのは真菜でもありラカラでもある存在だ。


「ああ、これで良い、結局俺は結美を本当の意味で救ってやる事はできなかったし、あのまま行けば恐らく俺たち全員が彼女の異常な欲望に飲まれていたと思う。全く...調停者ですら御することのできないほどの欲望ってなんなんだよ...」


 俺はあの時に彼女に幸せな世界を提供した。


 しかしながら調停者である俺自身を差し出す訳にはいかないので分体を作り新たな世界に双子の勇者と共に生まれ変わった姿で幸せな深層世界を作り出した。


 当然その世界の俺も現実ではあるが故に彼女は調停者である俺を視認することを出来なくした。


【深層世界】


 それは普通の人が住んでいる世界よりも高次元の世界だ。


 分かりやすく言えば結美が魔王となってからは気軽にクリスティアーノ王国に行けなかったのと同じ感じである。


 高位の存在となれば当然のようにその世界に顕現するにはそれ相応の容量が必要となる。


 32GBのメモリーカードの中に100GBのデータは入れられないと言った方がわかりやすいかも知れないな。


 調停者の俺が1000GBであるとするならば、一般的な世界は16GB程度で、此度結美に与えたのは256GB程度の世界だ。


 それだけの容量を与えてもワンチャン抜け出してくるのが愛川結美と言う存在ではあるが、恐らく大丈夫だろう。


 今回は俺も分体を作り彼女の好みのように自分の意思で動いているからだ。


 ここにいる調停者の俺とあちらの俺は厳密に言えば少し違うがほぼ同一人物と言っても相違はない。


 調停者が分体を動かすにはそれなりの容量をくってしまうが仕方ないだろう。


(そうでもしないとまた俺のことを追いかけてくるだろうし...)


 流石にあれだけ追いかけられれば彼女の扱い方も熟知しているつもりだが、念には念をということである。


 結果的に彼女は勝ったのか負けたのかは分からない結末となったが、俺としてはどちらでも良い事だ。


「俺の願いは叶ったんだからな...」


 ぼそっとそう呟いた俺はモニター越しに幸せそうな仲間達の姿を見て安堵のため息を吐いているのだった。

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