双子の過去
修は静かに自分たちの事を話し始めました。
「僕たちも自分たちに何が起きたのかを全ては知ってはいない。けれど母さんが勇者に敗北し僕たち双子は別の異世界に流れ着いた事は最初に言っておく」
そしてゆっくりと口を動かして順序立てて話をしてくれます。
「僕は幼い頃お姉ちゃんと流れ着いた小さな村で過ごしてたんだ。最初はただの捨て子だと親切なおじさんが僕と姉さんを拾って育ててくれてその恩に報いる為に僕たちも村の為に力を貸してたんだ」
そこまで聞くと悪い気はしませんが、その後に続く言葉で修の顔が暗くなりました。
「でもね、僕たちが10の頃になると特に姉さんの力が明らかに他の皆と桁外れになってきたんだ。元々小さい頃から大人顔負けの力と魔力を持ってたんだけど突如として村を襲いに現れた魔人を相手に姉さんは一歩も引かずについに倒してしまったんだ」
「倒したのなら良いんじゃない?」
私の問いに彼は首を横に振る。
「違うんだ。村の連中は魔人を倒せてしまった姉さんの力を恐れ村から追放した。あれだけ仲の良かった村の連中が裏切って行く様を見ても姉さんは顔色ひとつ変えずに笑ってこう言ったんだ。「あちゃー、私なんかやらかしたかなっ?」てあどけない顔でさ。皮肉だよね。姉さんは何も悪くないのに育った村から追放されたんだ。僕も追いかけたかったんだけど姉さんは僕にこう言って1人で旅立ったんだ。「修は皆と一緒に暮らして、私はちょっとあの魔人の親玉をやっつけてくるから!」ってね」
「...それって」
「そう、姉さんが倒したのはその世界の魔王と呼ばれる存在の僕であった者を倒した結果、姉さんは世界中から疎まれる存在になってしまったんだ」
私は自分の子供達がたどってきた軌跡を聞いてなんとも言えない気持ちになっているのでした。




