何か...おかしい
あれから数日間、何も起こりません。
私にとってこの試練はお母様との訣別の時間を再現する物だと思っていたのですが、お母様が死んだ時にしては少し私の体が幼すぎる気がします。
それに今までは全員で挑めていたのにも関わらず、私の試練になってからは何故か小鳥遊優樹達が見当たりません。
全員で乗り越える試練のはずなのにあの子達がいないことに多少の不信感を感じていました。
「...結美ちゃん?」
「えっ!? 何!? お母様」
「体調が悪いの? 少し休んで行く?」
「...」
(...なにか、やっぱり変だ)
私は目の前のお母様に違和感を感じはじめました。
...いえ、違和感というよりもこの試練の終了のさせ方に感づいて来たのです。
「...お母様」
「何? 結美ちゃん?」
優しく私に微笑みを送るお母様に私はこう言い放ちました。
「...お母様。私はもう貴方に未練はありません。この優しくて美しい記憶の世界も悪くはありませんが、私にはカズ君という最愛の人と幸せになる為に全てを投げ打つ覚悟があるのです。だから...もう私の前から消えてください」
私の言葉を聞いたお母様は少し唖然としていましたが、その直後にふっと笑い「分かったわ。強くなったのね結美ちゃん。お母さんはもう行くね。それと...あの人によろしく」そう言い残したお母様の笑顔と共に甘くてふわふわした世界は砕け散り、私たちの元いた世界が広がるのでした。
『EXスキル【母親の愛】と【振り切る勇気】と【確固たる信念】を習得しました。秘技魔法『【ブラックホール】』を会得しました』
https://www.pixiv.net/artworks/114492637
サンタコス高坂真菜ちゃんのAIイラストをつくりました。
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