【血染めのグレイン】
剣と木刀の打ち合う音が城内に響く!
「ぐっ!? 和希! こいつ強いよ!?」
「他愛もないな。此度の挑戦者はこの程度か?」
余裕のある声でそう呟く【血染めのグレイン】
(くそっ! そもそものタッパが違う! 打ち合いじゃ不利だ!)
そう考えた俺はミルティに指示を出す。
「ミルティ! 闇雲に剣を振るな! 奴の鎧の関節を狙うんだ!」
「関節ってどこさ!?」
予想外の言葉が返ってきたので俺は唖然とした。
そうだった、ミルティは人間のようだけど魔物だし教育も受けてきていない。
そんな奴に鎧の関節なんて言っても分からないだろうと今になって理解した。
「隙だらけだ」
【血染めのグレイン】の振るう大剣がミルティを押しつぶさんと降り注ぐ!
「ぐっ!!?」
それを木刀と我が身一本で受け止めるミルティは見るからに辛そうだ。
(まずいな、やはり身体能力はあちらの方が上だ!)
しかし、やりようはある。
「ミルティ! 一度離れて攻撃したら即時離脱を繰り返せ!」
「えっ!? 攻撃したらすぐに逃げるの!?」
「そうだ! それならできるだろう?」
「ああっ! できる!」
大剣を叩き込まれた状態からどうにか抜け出して一撃を入れて離れるミルティ。
「そうだ! その調子だ!」
その掛け声と共に彼女の動きが良くなっている事に未だ気付かない俺だった。




