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葉っぱに色が付き始めるころ、私はあなたのことを捨てる。
きっといつか忘れると思う。
でも、忘れられないと思う、あなたのこと。
始まりは、大学での授業だった。
去年から存在は知っていた。
暗めの髪色、透き通るように白い肌、黒縁の眼鏡。
まるでモノクロの中にいるようなあなたが、私の頭の片隅に色を残すことはなかった。
ここまで深く色濃く傷跡を生む関係に、なるなんて、あの時は思ってもなかった。
一年が過ぎ、私は二年生になった。
成人して、大人になった気分でいた。
心は子供だった。
思い描くのは、高校生の恋愛だった。
週に一回の英語の授業。
たまたまペアになった。
珍しい名前だった。
20分フリートーク。
趣味は合わない。
でも、惹かれた。
笑顔が好きだった。
はにかんだ時の口元が好きだった。