魔物との戦闘
ラビッシュはダークウルフに果敢に臨戦した。一羽だけでの戦闘。これはかなり難しい。クリスティーナも戦えるようになればいいのだが。
うー
(霧の城壁)
すると、ラビッシュの周りとクリスティーナの周りに結界が張られた。
ダークウルフからの攻撃・噛みつき!
攻撃を受けるがラビッシュの防御によってこれもかわせた。
うーうー
(うさちゃんパンチ!)
何だ、この可愛い技は。
ダークウルフの頬に命中し、赤くなって少し窪んでいる。ダークウルフは怯んだ隙を見せるが、すぐに元に戻る。
「闇の魔霧」
ダークウルフが技を使い、結界は解かれ、一気に視界が悪くなった。
クリスティーナの前にも黒い靄のような物が広がっていた。
うー
(姫様、大丈夫ですか)
「私は大丈夫!」
そんなやりとりをしているうちにダークウルフとの距離は縮まる。
うーう
(花の清水)
ラビッシュの魔法のお陰で視界が元通りになった。
だが、そんな余裕も束の間。
「狼の殴打!」
三匹のダークウルフがラビッシュ目掛けて殴りかかる。
ラビッシュは兎な為、高く飛ぶ事が出来る。
すんでの所でラビッシュはぴょーんと飛びはねた。そして、ダークウルフの後ろに着地。
うー
ラビッシュは体力を消耗したのか、唸っていた。
うーうーうっ
(姫様、魔力を下さい、魔力を)
魔力?
クリスティーナにはそれが何なのか分からなかった。
うー
(手のひらをこちらに向けて、強く念じて下さい)
クリスティーナはさっぱり分からなかったが、手のひらをラビッシュの方へと向けた。
そして、強く願いを込め――
すると……紫色の光がクリスティーナの手からラビッシュへと向かった。
「……熱い」
魔力を放出すると熱量により、体が熱くなる。これは魔法の性質上、仕方ない事なのだ。
うー
(そうです、これです。ありがとうございます、姫様)
ラビッシュは丸くなった。
魔力を最大限、捻出し。
ラビッシュから数本の槍が出現した。
うーうー!
(兎光槍!)
何本もの槍がラビッシュからダークウルフに向かう。
ダークウルフの体に槍が刺さる。既に5本は貫通していた。複数の敵への攻撃の場合、弓、槍などは有効なのだ。
痛そうにもがくダークウルフ。
それをクリスティーナは呆然と見ている外なかった。
しかし、まだとどめてはいない。ダークウルフは大量の血を流しながら、断末魔のような声を上げていた。
最後にラビッシュが勢いよく飛んで、ダークウルフの瞳に目潰しを食らわせた。
ガーグルッウゥ……!
三匹とも最後の一声を上げてその場に倒れこんだ。ダークウルフはみるみるうちに小さくなり……灰紫色の石だけが残った。
うーっうーうっ!
(やったー! 姫様、倒せましたよ)
「ありがとう、ラビッシュ。だけど、これからも魔物が出てくるかもだから気を付けないとね」
うー
(はいー)
クリスティーナは木陰から出てきて、ラビッシュの隣に立った。
うー?
(これ、拾っちゃう?)
「拾っていいものなの?」
うー
(姫様がどうぞ拾って下さい)
クリスティーナは灰紫色の石を拾って手に持った。
クリスティーナは強くなった感覚を感じた。
「あ、手に持ってると落としちゃうからアイテムBOX」
うーうー
(ポケットの中に入れておけばいいじゃないですか。人を便利屋のように言わないで下さい)
ラビッシュはしょんぼりした顔をした。
「ラビッシュって人だったの!?」
うー
(言葉の綾です。まあ、しょうがないですね、その石は入れておきましょう)
灰紫色の石はラビッシュに吸い込まれた。
うーう
(あ、忘れていましたが、喉渇いてないですか)
「少し飲む。ラビッシュは?」
クリスティーナは水を少し口に含みながら聞いた。
うーうー
(私は飲食を必要としない生き物なので、心配ご無用です。その代わり、魔力を食べます)
「魔力、いる?」
うー
(戦いの時以外、放出しないで下さい! 姫様! 本当に天然なんですから。ダメです!)
「そう……」
クリスティーナは肩を落とした。
クリスティーナはラビッシュのステータス画面を表示した。さっきの戦いでどれほど強くなったか気になるからだ。
うー
(いつの間に覚えたのでしょう。慣れた手つきですね)
「ねーそれよりさ。ラビッシュの癒物Lv9に上がってるけど」
うーうー
(戦えば強くなります)
クリスティーナはラビッシュがいるから安心だな、と心が温かくなった。
「ってことは、もふもふ度合いも上がるってこと!?」
うー
(それはどうでしょう……姫様は人を困らせるのが得意ですね)
「何でよ! 失礼ね。やっぱりラビッシュは人――」
うーうー
(その話はいいです)
「それより、私に魔力があるってどうして分かったの?」
うーう
(何となく魔力を宿してるって分かったんです。前世は魔法使いなのかなって。拾った時、心臓らへんに光輝くものが見えたんです。とにかく姫様は可能性を秘めてます)
ラビッシュは気づかぬうちにだじゃれを言っていた。それはともかく。
「前世は魔法使い! それほんとなの?」
クリスティーナは自身の魔力の力でこれから更に活躍していく事になるのだった。魔力は使い道が様々だ。戦闘に使ったり、回復薬として使ったり。クリスティーナの魔法の旅は楽しみだ。
クリスティーナとラビッシュは森を歩き続けた。戦闘をしたから、どこかで休みたい。そう思っていた。果たして森を抜け出す事は可能なのだろうか――。
この話でエタっています。
カクヨムでも更新途絶えており……、※そもそもカクヨム版は非公開にしました。
今後、この物語を更新する可能性は極めて低いでしょう。完結設定にするか迷いましたが、キリが悪いので、連載中設定にしています。
気分でもしかしたら更新するかもしれません……。