彦根南高校文芸研究部 高月ちひろ 高校一年生 夏編 その二
彦根南高校文芸研究部 高月ちひろ 高校一年生 夏編 その一の続きです。
「ちひろは可愛くて、勉強が出来て、料理も上手で、本当に優しい女の子だよ」
それを聞いた私は恥ずかしくなるが嬉しくもなる。
「それから?」
おかわりを催促してしまった。
拓也君は困ってしまっているが、許してほしい。
誉められる言葉はどれだけ聞いても嬉しいからだ。
「身だしなみがいつも整っていて、スタイルがいいよ」
うんうん、なるほど。スタイルもいいのね。
うん? スタイル?
私は少し考えた後、つい言ってしまう。
「エッチ」
「え?」
私の言葉に拓也君はかなり戸惑っている。
「だって、スタイルがいいって最後に言ったでしょ?」
「言った」
「それは私に対して一番誉めたい事なんだよ」
「可愛いが一番誉めたい事で、いや、スタイルが二番じゃないというわけじゃなくて……」
しどろもどろしている拓也君を見ていると面白くて笑ってしまう。
「ごめんごめん。もういいよ。十分誉めてくれたから」
「もう勘弁してよ」
「勘弁してあげよう」
私は少しだけ威張って言ってみる。
大した事は全くしていないだけどね……。
拓也君は疲れた顔をしていたが急に顔付きが変わった。
「ところでさっきのは何かテスト?」
「簡単な心理テスト。最後に言った事が本当は一番始めに誉めたい事なんだよ」
「うーん、確かに当たって
拓也君は素直に認めた。
「ちなみに勉強等の事を誉めたら知的な事が好きで、料理等の事を誉めたら家庭的な事が好きで、スタイルの事を誉めたら……」
あ、拓也君は私の身体が好きなんだ。
って事は、私の身体目的なのか?!
私は身構える。
「どうしたの?」
「スタイルの事を誉めたらその身体が好きなんだって、あかねお姉ちゃんが言っていた」
こんな恥ずかしい事を言いたくないけど、なんとか頑張って言った。
「え、何?」
拓也君は私の気持ちもわからず聞き返してきた。
「スタイルの事を誉めたらその身体が好きなんだって、あかねお姉ちゃんが言っていた!」
こんな恥ずかしい事を二回も言わせないで!
と、言おうとしたら拓也君は拓也君で凄く苦しんでいる様子だ。
どうやら、私の言葉が的を得ていて否定ができないようだ。
「ごめんなさい」
さすがにまずいと思ったみたいで拓也君は素直に謝った。
あ、言い過ぎた。
「あ、悪い事じゃないのよ。男の子が女の子の体に興味を持つのは自然な事だよとあかねお姉ちゃんが言ってたから」
それを言ったら、拓也君はもう勘弁してという顔をしていた。
拓也君って、意外と本心を知られるのが苦手なみたい。
完璧主義者かと思ったら意外と普通なんだな。
何か、安心した。
拓也君は執筆作業を始めた。
これ以上この出来事を触れたくないという意志表示だろう。
私はその意志表示に乗ることにした。
正直、これ以上スタイルの事を言われるのは恥ずかしいからだ。
五時半になり、作業終了した。
戸締りして学校を出ると日は西に傾いていた。
「日が長くなったな。夏も近い証拠だな」
「うん、そうだね」
「だけど、部活の事を考えると今年の夏は三日ぐらいしか楽しむ事ができないな」
確かに拓也君の進捗状況から推測すれば拓也君の言う通り三日ぐらいしかない。
「何をするの?」
私の問いに拓也君は考える後、言う。
「ちひろと一緒に花木大会に行きたい」
「花火大会、行きたい! 行こう!」
「長浜でも花火大会あるでしょう?」
「遠くからは見た事がある」
「近くで見た事ないの?」
「長浜はいつも平日にしか開催されない。お父さんとお兄ちゃんは仕事。お母さんは混雑するから行きたくないと言われて終わり」
長浜市内に高い建物が数える程しかないので旧市外だと場所に寄っては打ち上げ花火が見る。
だから、わざわざ混雑する会場に行く必要が無い。
だけど、花火はやっぱり近くで見たい。
そのチャンスがあるなら是非とも行かないと。
「じゃあ、花火大会の日は完全オフにするか」
「うん、そうしよう」
花火大会か、楽しみだな。
まだ一か月以上先の話だけど、楽しみで仕方がない。
期末試験があるけど、私と拓也君なら問題は無い。
そうだ、あかねお姉ちゃんに花火大会の事は伝えておこう。
この前みたいにドタバタするのは良くないから。
そして、夏休みが始まった。
どうでしたでしょうか?
楽しめましたでしょうか?
正直なところ、文字数制限を超えるとは自分自身思ってはいませんでした。
ですが、省略する事はできない為その二を作成しました。
多分、必要あるのかと思いですが後々あれは必要だったと思って頂けると考えております。
次回、夏休み編を期待して下さい。