プロローグ
昔々のお話です、まだ世界は1つでした。差別もなくて皆が平等に暮らしていて、とても幸せそうでした。その顔は見ている人までも幸せにし、温かな気持ちにさせました。
魔法使いも人間も関係なく暮らすこの世界は、神様の手によって2つに分けられてしまいました。人間界と魔界、それから2つの生き物は接することがなくなったのです。
人間は魔法使いの存在を認めない、魔法使いは人間の存在を認めない――いつからか、そんな世界になってしまいました。
「くだらない」
ここは魔界、魔法使い育成学校の自習室で、本を閉じて呟いた。
赤く染まったサラサラした髪の毛、耳には白い羽に赤い星がついたピアスをしている。制服は着崩していて、水色の大きな瞳に、手には小指と中指に指輪をしている。
身長は170ちょっとぐらいか、白く肌理細やかな肌は、周りから見たら美少年だ。
「肝心なところを省略しやがって」
そんなことを言っていると、自習室のドアを誰かが開けた。
「こんなところにおったのか」
木で出来た杖をついて黒いローブ、真っ白な髭は伸ばしていて、メガネをかけた老人、この人は魔界を治める大魔術師ネウロ。なぜこんなところにいるかというと、魔法使い育成学校の校長でもあるからだ。
「ネウロ様、お久しぶりです」
「レイ、お前はもう2年生だったな?」
「そうです」
そうかっと言って、ネウロは1冊の本を渡した。
「お前には人間界に実習に行ってもらう、これに1日のまとめを1年間書き続けるんだ」
「ちょ、ちょっと待ってください、1年間も実習に行くんですか?」
「立派な魔法使いになれるように、でも、もしもじゃ」
カツカツと歩み寄ってきて、杖を向けた。
「魔法使いだと人間共にばれたときは、進級不可にする」
「ネウロ様!」
「つべこべ言わずに、行って来い」
少年に魔法をかけて、人間界に落とした。
落ちた場所は公園、お尻を擦りながら空を見上げた。
「あの老いぼれ……」
少年の名前は如月 レイ、魔法使い育成学校2年生。でも今から行く場所は、人間界の高校だとか。