崩壊
日常の崩壊
それは例え良い結末、悪い結末を迎えるとしても、突然やって来る。
ある日の朝、いつもの時間に起床し、いつも通りの朝食を摂る。なんら変わりのない〈いつもの〉一日の始まりを迎えようとしていた。
ードンドンドン!
激しくドアが叩かれる
「誰かいるのか!いるなら出てこい!」
ドアの向こうで誰かが怒鳴っている
母は料理をしていて手が離せないため代わりに
ドアを開ける。「軍の者だ!ティス・リムドールは貴様か!」若い男がすごい剣幕で話しかけて来る。若い男の勢いに圧倒され、返事ができずにいた。すると、後ろから中年と思しき男が若い男の肩を叩き、若い男が振り返る。
パンッ!
中年に殴られたのか、若い男は頬を押さえている。
雰囲気からして若い男の上官だろうか、中年と思しき男が、「落ち着け、怖がらせてどうする。」と諭すように言った。若い男は落ち着きを取り戻したのか、すみません。と小さく謝る。中年と思しき男がこちらに気づき、向かって来る。
「おはようございます、軍の者です。ところで、この家に住むティス・リムドールはー、君かな?」
さっきのに比べて優しめの口調で話しかけて来る。
「ええ、僕ですが何か?」
「ちょっと話があるんだけど、親を呼んでくれるかな?」 そこへタイミング良く母が来る、「どうしたのですか?」その後、長々と中年の兵士から説明された。
・自分は10歳になっているため、この国の法で徴兵制の対象となっていること。
・徴兵されると、5年間従軍すること。
・今日の昼頃に最寄りの駐屯地まで来ること。
要約するとこんな感じだ。
軍の人が帰った後、母が話しかけてきた。
「もうそんな時期だったのね、寂しくなるけど引き止めたりしないから、行って来なさい。帰ってきたら生きたいように生きなさい。」どこか悲しそうな表情だった。
言葉に詰まる、当たり前だ、10歳というまだマトモに物事を考えられない自分にはスケールの大きすぎる話なのだ。
頭が混乱したまま時間が過ぎ、気づいた時には軍の駐屯地と思われる建物の前にいた。
周りを見ると、同年代の男の子がざっと12、3人はいた。
「全員揃ったな!これから君たちが過ごす訓練所へ向かう!その後の話は着いてからだ!」
朝の中年と思しき男が声を張り上げる。
そうして僕たちは訓練所へ向かった。