表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

不機嫌な神獣

不快な轟音と共にソレは魔法陣に現れた。

召喚士達は大歓声で召喚成功を祝い、互いの肩や背を叩き喜びを分かち合う。


「流石だな大召喚士ガイマ、父上も喜ぶことだろう。褒美は奮発するよう口添えするぞ」

偉そうな若造はブラセイア国の第三王子ダニエル。

「有難きお言葉、感謝いたします」ガイム召喚士長は腰を折り礼を述べる。



混沌とした世、まさに僥倖だ。と皆喜びに沸いた。

乱世においてなにが僥倖だとガイムは腹のうちで毒を吐いた。


「それでは呼び出したモノと契約を」

「うむ、わかっている」高揚に王子は頷き、ソレに近づく。



「覚醒し我と契約せよ、アメジストのOOOO。我が名はダニエル・ブラセイアお前の主である」




――目ヲ覚マセ?


――誰ヨ、エラソウニ契約?主?


――中二病カヨ、痛々シイヤツ



ソレは「ガオオオォン(うるせぇ)!」と大音量で咆え、紫水晶の瞳で睨めつけた。



***


「ガオオグルルン……」(なんか、あったま痛ぁ~)

「ガゥゥゥゥウ、グルルルルーン」(んだよ、さっきから耳元でガオガオ喧しいったら……)

「ンガアア?ガオオオオー!?」(え?なにこれ喋れない!?)



まるでOッO-ラの慟哭のような声……。

自分の口からガオガオと唸り声が出ていると自覚したソレは辺りを見回す。

巨大洞窟に祭壇のようなものが設えてあり、マントを羽織ったオッサンたちが十数人倒れている。



「ガオオオオオ!グラァアア!ンガアアアア!ギャオオオオ!」

(なにこれ!明晰夢!?こんな夢みたくないっつーの!洞窟狭い外出たい!)


「お、お静まりください、神獣様。どうか、どうか」

たった一人起きていたらしい青年が、必死に頭を下げて懇願してきた。


「ガアアアアア!」(だれだ、お前!)

「ぎひいいい!御赦しくださーい!」


ここは何処だと聞きようにも出てくるのは唸り声だけ、途方にくれてシュンと項垂れた。


――


どうやら今の自分は相当デカイ図体らしい、青年が虫くらいに見えるよ。

それとも青年が小人かなんかか?


『恐れ入ります、念話はできますか?』え?青年の声が頭に響いてる?

『念話?中二かよ』

『おお、聞こえますよ。神獣様!』


はて?しんじゅう……神獣のことか?いよいよ中二病だ。

私のことかと首を傾げてみる。

『はい、あなたは神獣様で。本日、召喚されました』

『……は?』



「ガアアアアアアア!グアラアアアアア!グルラアアアア!?」

(召喚とかバクワラ。中二の夢かよ!バッカじゃない!?)


「ひぃい!お静まりくださひぃっぃ~~~」


ちょっと笑いながら呟いただけで、泣く事ないでしょ。

やり難い!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ