1話 運命の出会い
――――古代、神々の争いが起こりその戦いによって生まれた人類。
しかしその生まれた過程にある種族が存在する、その種族の名は
『古代巨膂族』
今では御伽噺として人類によく知られているが近頃では貴族などの身分が高い者から人間よりも上の種族などあってはならん、という否定的な意見もある、が子供たちの中ではやはり英雄視されていてごっこ遊びでは取り合いである。
そんな伝説の『古代巨膂族』の集落では……いじめが起きていた。
「痛いか?痛いか?もっと痛くしてやるよ、おらっ」
「おいおいそんなにやって大丈夫なのかよ」
「大丈夫だ、このクソチビは無駄に回復が早いからな」
「ぶはははっ確かにこのクソチビならいいか」
「マジでこいつってチビだよな」
「鑑定したら『古代小膂族』って書いてあんじゃね」
「だははははっ」
「おい、大人どもがきたぞ…今日はこのへんにしておいてやろう」
「じゃーなー可愛いおチビちゅわーん……ぷぷ…」
「ぶははは」
「クソっ」
<情けないのぅ>
〈ほんとねぇ〉
「…………全部アンタらのせいだよ」
俺が何故転生して背を伸ばしてもらった筈なのなも関わらず、前世と同じようないじめを受けているかと言うと、話は4歳頃に遡る─────
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俺が転生したこの集落はかなり大きく、様々な建物がある。
そしてうちの近所にはこじんまりとした骨董品店があって、中々の品揃えだ。
しかも伝説の集落ということもあり世界中の骨董品が集まってくる。
そこで適当に良さげな品を物色していると、あるものが目に止まった
「おっちゃん、これなに?」
「おう坊主!お目が高ぇな、こいつは少々いわく付きなんだがかなりいい品なんだよ」
「ほかのは紙がついてるのになんでこれにはないのー?」
「えーとそれがいわくって奴でな、鑑定を妨害しちまうらしいんだよ。ボソッ(ま、今まで買っていった人が長生きしているのは見てねぇがな)」
「……カッコイイー!これちょうだい!」
「んん…まあいいか、誕生日ちけぇしプレゼントだ。ボソッ(どうせ誰も買わんだろうし、さすがに子どもの指には嵌らんだろう)」
「……ヤッターーー」
そして俺は『ウロボロスの指輪』をGETした。普通ウロボロスは2匹の龍がお互いの尾に噛み付いているのだが、このウロボロスは尾を絡ませ真ん中の宝石のようなものを幸せそうに噛み付いていた。この時はなかなかいい品を貰ったと、そう思い込んでいたのだが…
家に帰り、早速指輪をつけてみた。
おおぉカッコイイ、しかもピッタリはまったぞ……ん?なんでピッタリ嵌ってんだ?
グッ
ん?
グッグッ
あれ?
グイッ グイッ ググーーグイィーーー
あれれー?
……………………外れん
まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい
あれ?おっちゃんいわくつきとか言ってたのになんでなんの抵抗もなくはめたんだ!?やばいだろ!え!呪われたか!? <ぃ> どうするんだ?教会とか行くのか!?やばいやばい! <ぉぃ> 時間制限とかあるのか!?急がなきゃ!でも鑑定できないんだった!!!どうしよう? <ぉい> おっちゃんのとこ行くか? <おい> いやでもわかんないって言ってたし、どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?
<……オイっ!!!>
っ!?…………誰ですかっっ!?!?
<わしじゃっ!!>
だから誰ですか!?!?
<おお、やっと話を聞いてくれるのか、わしはのぅ、お前がはめとるウロボロスの指輪の黒い方じゃ>
え!?は!?指輪!?
ゆ、指輪ですか!?
<そうじゃと言うておるだろうが!>
〈貴方ねぇそんな強く当たらなくてもいいでしょうに〉
<そんなこと言うたってわしらの子を預けるんじゃぞ?不安になるのは当たり前じゃ>
〈そんなこと私もに決まっているわよ、そんなに、と言っているでしょう???〉
<わ、分かっておるわい>
〈ああ、忘れていたわね私はウロボロスの白い方よ〉
け、結局あなた達は誰なんですか
〈私達はねぇ〉
〈<邪神が生み出し聖神が加護を与えた神話に出てくるウロボロスよ(じゃ)>〉
ぇ?
…………………………………………………はああぁぁぁぁぁああ!?!?!?
いや、え?まじで?嘘じゃないの?おっちゃんが来て嘘だよーとか言わないの?どゆこと?え?まじ?は??え?えええ?いやだって、神話だよ!?2歳でも知ってるんじゃないかってほどのあの神話だよ?でも確かに神話のウロボロスは仲睦まじいというとよく聞くし、そこそこ魔抗力が高いのに難なく念話を仕掛けていることにも説明がつく。でもなんで指輪!?謎、謎過ぎる!!鑑定もそう考えると当たり前だし、なんか知らないけど最初から敬語になってるし、何も考えず指輪をつけたのは思考誘導か!?おぉ辻褄が合うな、じゃ、じゃあとりあいず話を聞かないことには始まらないのか!?でもなんで指輪!?でもなんかオーラ出てるしいいのか!?いやでも指輪!?!?!?!?
<おい、落ちつけぃうるさいぞ>
は、はいっすみません。
〈あらあら随分と素直になったわねぇ〉
い、一応私の種族は人類よりかなり神話に近い存在なのでかなりこう、もろにオーラが…
<そういう事か、えーと何から説明するかのぅ>
〈簡単に言うわね、神話の中で私達はあの戦いの後、仲睦まじく幸せに生きて寿命で死んだということになっているわよね?〉
はい、その通りです。
<実はわしらエネルギーがある限り不死でな、死なずに子供作ったんじゃけど、あの戦いのせいでエネルギーが足りんくって卵を孵すことが出来んかったんじゃよ>
〈だけどどうしても諦めきれず、残りのエネルギー全てを使って私達の意志と卵を指輪にしたって訳なの〉
な、なるほどそんな物語があったんですね。
それで私は何をすれば良いのでしょうか、あと指輪は外れますか?
<そ、それは……な?>
〈い、いや私たちだって必死だったのよ………ね?〉
ど、どういうことですか!?
<…じ、実は卵が孵るまで、成長エネルギーを全て吸収してしまうし外れない呪いを……>
〈だ、だって10000年くらいずっといろんな人からエネルギー吸い取ってきたのにまだ1%溜まったか溜まってないかくらいなのよ……〉
じゃあまさか、これ以上背が伸びないなんてことは…………
〈<あるわね(のぅ)>〉
う゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛