プロローグ
初めて小説を書くので、手探りで頑張ります。
最後まで書ききるのが目標です。
「神様、どうかお願いします。命と引き換えにでも構いません。どうか、どうかこの戦争を止めてください」
止まらない涙を流しながら、ほとんど平地になってしまった被爆地で少女は叫んだ。
「誰が悪いというのですか、どうして争ったのですか、この国なんてあげますから、お願いします、もう誰も殺さないでください」
しゃくり上げながら話す彼女に、目の前の者は眉一つ動かさなかった。
それは何故か、その者はこの地球の民では無かったからだ。
所謂宇宙人、というやつだ。
地球の人々はそう呼んだ。
「感情があれば、僕は君を殺さなかったのだろうか」
呟いた1人の宇宙人は、彼女の眉間を槍のようなもので貫いた。
…そうしようと思った矢先、宇宙人は大きなヘッドホンのようなものに手を当てた。
「ええ、ええ。…はい、では、予定通りに」
電話、というよりも内線が入ったらしく、宇宙人は1度構えを解いた。
「良かったな、少女よ。戦争はこれで終わりだ」
少女は嘘だと少し思いながらも、喜んだ。
もう死なない、誰も犠牲にならない。
…そう、思い込んだ
白い光が辺りを包む。
6月6日、核爆弾に似た何かを落とされた。
最期に宇宙人はこう言った。
「私だって死にたくない」
…それから200年ほどだろうか
「あの戦争の後、実は人類は滅びていなかったのさ」
至って普通の学校、普通の教室
彼らから見ればそうだろう。
「少しだけ残った生命体が、謎の宇宙物質により新しい形へと姿を変えた。その生命体が今の僕ら、【異型属】さ。」
その先生の頭は電球で出来ていたのだ。
いや、先生だけじゃない。生徒もだ。
例を挙げると、本、電子レンジ、鉢植え…数々の道具が頭となっているのだ。
「【異】という字は、異端、おかしい…まあつまりは、自分たちとは違うものに使うものだ。
だが今はこの頭は普通だと感じている。
それにだ。頭以外は何も変わらないんだよ。
身体的特徴、寿命、その他も何も変わらない。
でも一つだけ違うことがある。それはなんだ?
…12日だから…12番、多田くん」
1人の少年、テレビが頭の人物は少し大きめに話す。
「はい、人工知能開発の知識を得たことです」
「正解、だから僕は【異】という字を使うのはおかしいと思っているんだ」
彼の言う通り、人類はかなり精密な人工知能の開発に成功した。
人間と何ら変わりない、感情を持ったロボット。
成功の理由は、爆発により残った宇宙物質の解明によるものだった。
その物質こそ、人工知能に必要なものであるのだ。
「ん、チャイムが鳴ったな。じゃあ今日はここまで!気を付けて帰れよー」
放課後。ということは夕方。
ギリギリと空の大きな歯車は回った。
変わったことは人類の形や新しい物の開発だけではない。
空だ。
以前の地上とは違い、かなりの汚染物質があった。
対策のためにドーム状の建物で地上を覆い、空の光さえも遮った。
そこで頭の良かった1人の人物が、人工太陽と人工月を開発したのだ。
その人物の名は灯
彼は蝋燭で出来た頭をしており、この国で1番頭が良い。
とは言っても、開発に関しての知識が長けているだけなので、気の利いた言葉を述べられなかったり、感情に任せる一面もある。
…そういった点では頭は良くないかもしれない。
ある日、灯は一体の人工知能ロボットを開発した。
「起きなさいLUNA。君は生まれた。」
LUNA、と呼ばれたそのロボットは目を開く。
「こんにちは主人。私はLUNA、あなたのお役にたてれば幸いです。」
戦争が起こる前の人間に近い形をしたロボット、LUNA。
まるでLUNAは、齢15くらいの少女のような形をしていた。
「ああ、LUNA。良かった、成功した。では、君が感情を持っているかテストしよう。」
なぁに、簡単な心理テストさ。と言い、灯は話し始めた。
「ある所に1人の少年がいた。彼はお金がないが、母のために薬を買おうとしていた。そこでLUNA、君はお金を持っていた。だが僕にお使いを頼まれていた。そのお金を渡せば君は任務を遂行できない。さぁどうする?」
言い終えると同時、間髪入れずにLUNAは話した。
「その場を去り任務を遂行します」
灯は目を丸くした。これではまさか…
「る、LUNA?君は少年を可哀想とは思わないか?」
「ええ思いません。任務の遂行が最優先事項ですから」
…これで確信は持てた。
ああ、失敗。そう。人工知能による大きな意味を持っていないのだ。
「感情が…無いのか」
確かに感情の開発は最難関である。
並大抵の技術では実現できない。
それに、膨大な費用がかかる。
灯は無理を承知でやってみたのだが、結果はあっけなかった。
「感情、か…」
ため息をつく。
感情の学習をさせること。果たして自分にはこなせるだろうかと不安の気持ちで一杯だった。
…そしてその3日後。
国を脅かす大きな事件は起きた。