始まり
始まりは突然だった。
100年に一度起こると言われている"魔王戦争"。
それが開戦したのである。
魔王は世界を自分のものにしようとし、世界中に散らばっていた魔族に人間の村を攻めさせたのである。
もちろん、人間側にも魔王に匹敵する能力を持つ者がいる。"勇者"である。
この物語は"魔王戦争"で不運にも"勇者"となってしまったある若者の物語である。
「じゃあ、行ってくるよ‼︎」
今日は故郷の村を離れる日だ。
なぜか、僕が"勇者"となってしまったらしい。
「気をつけろよ、絶対に、死ぬんじゃないぞ。」
村のみんなが心配している理由。
それは、"魔王戦争"終結後"勇者"は死亡している
のである。
原因は、"魔王戦争"の反動である。
"魔王戦争"は魔王を倒すことで終結する。
しかし、"魔王"の存在が大きすぎるので"魔王"を倒した後で世界のバランスが乱れ始める。
すると、世界は魔王に匹敵する強い力を取り込もうとする。その強い力が"勇者"である。
その、"勇者"のエネルギーが次の"魔王"を生む。
もちろん、それを回避しようと"勇者"を殺したことがある。
しかし、何も変わらなかった。いや………一つだけ変わった。
その国が滅んだ
"勇者"のエネルギー供給は世界に不可欠なものである。
それを行わなかったことによって、世界のエネルギーが枯渇したのである。
その時は先代の"勇者"のエネルギーが余分にあったため、世界は崩壊しなかった、ということを"魔王"に聞いた。
いや、正確に言うと魔王になってしまった友達なのだが……
そもそも"魔王"は人間が変化したものである。
そして、自我を持っているわけでもない。
決められた行動、つまり[魔族に人間を襲わせる]ということを実行しているだけなのである。
"魔王"と"勇者"が友達なんて……。
それでも、僕は"魔王"を倒さなくてはならない。この世界を守るために。
え、遅いって?ごめんなさい。