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45.女の戦いin異世界

 宿屋の部屋、桜咲とレイチェル。

 そこにはリリィとそのお付きのノエルもいた。

 先ほど酒屋で、宿屋を貸切にしているノエルに部屋を貸してくれないかと頼んでいるとリリィが現れ、とりあえず部屋で話そうということになったのだ。


 ちょ、さっきからレイチェルさんが死んだ魚のような目で見てくるのですが。

 助けてください。


 レイチェルからすれば、先ほどまで自分を守る守ると言っていた男が、見知らぬ女にダーリン呼ばわりされているのだから、心中穏やかとはいかない様だ。



「オウガストでウチの執事みたいなんに捕まって、今、国に連行されてんねん」


 リリィはノエルを指さしながら説明した。

 そのノエルは、先ほどから桜咲を睨んでいるような気がする。


 あの、僕が何かしましたか?


 リリィはそんなノエルの視線など気にせずに、桜咲に抱きついた。


「そしたら、こんな小さい村にダーリンおるやーん。どうしたん? ウチのこと追いかけてきたん? もうこのまま初夜を過ごしてまう? 」


 そんなリリィの言葉に、さすがのレイチェルも我慢出来なくなる。


「ちょ、ちょっと、あなた何してるのさっきから。ショウが困ってるでしょう」


「ダーリンなんなん、この女。えっらいちんちくりんやけど、愛人にするんやったらもっと可愛らしいのにしときーや」


「誰が愛人ですか!」


 珍しくレイチェルが怒鳴った。

 しかし、リリィはレイチェルの言葉など聞いてはいない。


「男は浮気するもんや、ってウチは分かってるし、気にせんで。最後にウチのとこに戻って来てくれるんならええし」


 いちいち語尾にハートがつくのではないかと言うほど甘い声色でリリィは桜咲に話しかける。


「私たちには!」


 ぐいっと桜咲とリリィを引き剥がしながら、レイチェルは叫ぶ。


「やらなければいけないことがあります!」


 ここまで声を大きくするレイチェルは初めて見た。

 桜咲はそんな珍しいレイチェルから目を離せなかった。


「レイチェル、、、」


 桜咲の視線の先にレイチェルがいることに気付き、リリィはレイチェルに詰め寄る。


「あんたなんなん? ダーリンの何?」


「私はショウのパーティですが、何か?」


 腕を前で組んで、レイチェルは言い返した。

 流石に桜咲も放っておくワケにもいかずに、2人の間に割って入った。


「喧嘩はやめようよ。リリィ、僕らはイノベアのあとビノタイトにも行かなければ行けないし、今の僕には結婚する気もないよ、ごめん」


 桜咲がそう言って謝るとノエルが桜咲に剣を突き立てた。


「ほぅ? 貴様はお嬢様の求婚を断るということか」


 ちょっとちょっと、あなたまで入ってくるとややこしい事になるでしょうが!


 桜咲は心の中で叫んだが、ノエルの鋭い視線からは逃れられない。


「お嬢様。この男に相応しい罰を」


「ちょっとちょっとやめーやノエル。ダーリンを傷つけるんはあかんで」


 リリィにそう言われ、ノエルは剣を引いた。


 何でこうなるんだ。

 宿を借りたいだけだったのに。


 桜咲が悩んでいると、リリィは桜咲の手を握って話しかける。


「分かってるで、ダーリン。いきなり言われて戸惑ってるんやろ? 焦らんでええ。とりあえず部屋は空いてるとこに泊まったらええし、ゆっくり休んでな」


 ニコッと笑顔を浮かべるリリィ。

 いまいち、断っているのが伝わっていないようだが、この騒動が収まるなら問題はない。

 桜咲はリリィに礼を言う。


「ありがとう、リリィ」


「うん、気にせんでええよ。ほら、どうせ行き先はイノベアやし、道中ずっと一緒なんなやから、な」


 リリィがそう言って笑う。

 また、レイチェルの視線が突き刺さっているような気がしているのは錯覚ではないはずだと、桜咲はおもった。

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