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39.精霊と災厄の異世界

 ギルドに着いた桜咲とレイチェルは、ベリーに事情を話して会議室へ進む。


「やぁ、遅かったね」


 待ちくたびれたのか、ダウルが笑顔の中に棘を混じえて言ってきた。


 そりゃあ、あのあとパン屋さんで求婚されてたからなぁ。

 と、苦笑いする桜咲と、首を傾げるレイチェル。


 ダウルは更に言葉を続ける。


「まぁいいさ。座りなさい、話をしよう。レイチェルはショウ君から説明は受けていますか?」


「はい!」


 レイチェルが頷く。


「では、説明は不要ですね。言いたいこともあるでしょうが、全ては国のため、あなたのためでした、許してください」


 ダウルがそう言うと、レイチェルは大きく首を横に振った。


「いえ、そんな。私の事を考えて黙っていてくれたのなら、、、。それに、私も目標があったから、絶望せずにいられましたし」


 桜咲の隣で咲く優しさと勇気に、何故か目頭が熱くなる。

 なんていい子なんだ、と。

 この子は俺が守るんだ、と。


 レイチェルの言葉を聞いてダウルはさらに続けた。



「ありがとう、レイチェル。では、話を続けます。あなた達に向かってもらうのは、西の国イノベア」



 ダウルはそう言いながら地図を取り出した。

 世界地図のようだが、桜咲には文字が読めない。


 という、イノベアって、リリィの地元だよなぁ。関係ないけど。


 桜咲が思い出しながら苦笑いする。


 その横でレイチェルは真剣な視線を地図に向け、ダウルに尋ねる。


「イノベアに精霊は居るんですか?」


「ああ。この精霊は過去には自らの契約者を殺し、契約不履行により、その土地から離れられなくなった、と言われているんだ」


 契約者を殺し、という言葉に桜咲は身構える。


「それって、めっちゃ危ないんじゃ」


 頷いて言葉を続けるダウル。


「ああ、そうだ。だからその存在は隠され、その場所は立ち入りを禁じられている。イノベアの端にある場所、白の渓谷」


 ダウルは言いながら、地図にペンで丸をつけた。

 恐らくその場所が今言っていた白の渓谷なのだろう。


「ここへ、向かい、何としてでも精霊と契約するんだ。そして、その後にここ」


 更にもうひとつ、ダウルは丸をつけた。


 その丸を見てレイチェルの表情が固まる。


「どうしたの?レイチェル」


「だ、だってその場所って、、、」


 言いづらそうにするレイチェル。

 地図の文字が読めない桜咲は、どこを指し示しているのか分からない。

 そんな桜咲に気づいてか、すぐにダウルは答えを教えてくれた。


「災厄、ヨルムンガンドが巣食う場所。ビノタイトにある、終わりの山脈。ここに行ってもらう」


 いや、どれも分からないけど。

 と桜咲は心の中で言うが、隣でレイチェルが言葉を失っている所を見ると、有名な魔物なのだろう。


「そうか、やはりショウ君には分からないことか」


 桜咲の様子を見て、ダウルはそう言った。

 ダウルに言われ、頷くと更にダウルは説明を続ける。


「この世界で最も有名で最も強い魔物、それがヨルムンガンドだ。過去に何度も様々な国で討伐を試みたが成功には至らなかった。この100年間ずっと、、、」


「100年!?」


 つい、桜咲は聞き返してしまった。

 ダウルは頷き、さらに続ける。


「ああ、そうだ。終わりの山脈と呼ばれるビノタイトの土地に住んでいて、近寄る者を全て食い散らかす。だが、ヨルムンガンドは何故かその場所から動かないんだ。普通魔物は餌を求めて自分の縄張りを広げるものなのだが、そのヨルムンガンドは一定の場所から動こうとはしない。だからもう討伐は諦めてしまったんだよ、どこの国も」


 なるほど。

 でも、じゃあ。


「それって討伐しなくてもいいんじゃ?」


 ふと浮かんだ疑問を桜咲はそのまま言葉にした。

 すると、ダウルは首を横に振る。


「その後もヨルムンガンドがその場所から動かない、という確証もない。それに、その終わりの山脈という場所はビノタイトとオウガストの国境にあってね、そこが通れなければ困る者がいるんだ」


 と、ダウルは説明をした。


 つまり、イノベアの白の渓谷で精霊と契約。

 その後、ビノタイトで最強の魔物を討伐。

 そうすることで、桜咲とレイチェルは認められ、ウルダッセンに向かうことが出来る、と。



 ああ、これってあれか。

 ゲームの方式だな。

 RPGでよくある、あっちいってこっちいって依頼をこなせば、次のストーリーに進めるやつ。


 この世界は桜咲の頭の中にある、ファンタジーのイメージに沿っているため、そういう仕組みになっているのだろう。


 レイチェルはヨルムンガンドの話を受けてから、言葉を失ったままだ。

 どこか、怯えているようにも見える。


 桜咲は震えてしまいそうなレイチェルの手を握った。



「大丈夫、僕が守るから」


 桜咲はレイチェルにそう言って、立ち上がった。


「わかりましたよ、ダウルさん。それをこなせばいいんですね」


 笑顔で頷いて返すダウル。


 大丈夫。

 最強の精霊だろうが、最強の魔物だろうが、問題ない。


 こっちはこの世界最強の主人公様だぞ。


 桜咲は地図を受け取った。

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