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38.陽光と瞳と異世界

 ユーナに書いてもらった地図通りに、レイチェルの自宅へ向かう桜咲。


 今日はよく地図を見ながら歩く日だな、と無駄なことを考えながら歩いていると、向こう側からレイチェルが歩いてきた。



「あれ?レイチェル」


 桜咲は手を振りながら言った。

 すると、レイチェルは少し怒ったように桜咲に詰め寄った。


「もう!どこに行ってたの? 心配したんだから」


「ごめんごめん、ちょっと」


 何て言おう。

 朝からギルドマスターと戦って、黒髪の女の子拾って、求婚された。

 いや、おかしいなそれは。

 事実だけど。


「えーっと、ダウルさんとトレーニングしてから朝ごはん食べてた」


 うん。これだな。


 桜咲はリリィの件を省いて話すことにした。

 レイチェルは話を聞いて納得したのか、機嫌を直したようだ。


「まぁ、会えたからいいんだけど。それよりショウは何でダウルさんのとこに行ってたの?」


 顔を近づけながらレイチェルは尋ねる。

 ふと、近づく綺麗な顔。

 綺麗な髪が揺れると爽やかな香りが鼻をくすぐる。


 ドキッとしながらも桜咲は答えた。


「え、あ、聞きたいことがあって。、、、って、そうだ!レイチェル、ちょっとギルドに一緒に行ってほしいんだ」


 待たせているダウルを思い出しながら、桜咲はダウルの話を説明した。


 ゴールドクラスに昇格し、ウルダッセン国境に向かうことを見据え行動すること。

 その為には2つの条件を満たすこと。

 レイチェルの精霊との契約。

 幻獣種の魔物討伐。


「精霊、、、」


 レイチェルは突如説明された、自分の目標への道筋に言葉を失う。


「うん、そう。なんか、精霊って契約するのに危険を伴うらしくて、情報が制限されてるらしいんだよね。その話を聞きにいくんだ」


「そっか、、、。そりゃ見つからないよね。精霊」


 レイチェルは乾いた笑顔を浮かべた。


 少なからずショックは受けているのだろう。


 元々レイチェルは、母の背中を追って精霊魔導師を目指している。

 レイチェルの母はウルダッセン国境において行方不明になっており、その母を探すためにウルダッセン国境へ向かいたいレイチェル。

 そのレイチェルの母こそ、精霊魔導師であった。


 精霊魔導師とは精霊と契約し、使役し、戦う者であり、その力は通常の魔法使いの比ではないとされている。


 その精霊魔導師の力があれば、ウルダッセン国境に向かうことも可能だと考え、レイチェルは精霊を探していた。


 この10年間、ずっと。


 その探していた答えは、すぐそこにあったのだ。

 ショックでないはすがない。


 そんな乾いた笑顔を見て、桜咲は言う。


「ダウルさんも悪気があったんじゃないと思うんだ、危険もあるってことだし」


「うん、わかってる、、、そうだね。行こう、ショウ」


 レイチェルは自分の中で前を向いたのか、力強い眼差しでそう言う。


 陽の光を受けたレイチェルの蒼い瞳は空よりも輝いていた。

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