36.異世界と行き倒れ
「おわった、、、」
桜咲は絶望した。
オウガストの街中、言わばこの国の大都会と言っても過言ではない場所で1人立ち尽くす。
ダウルに、自分がウルダッセンの侵略を終わらせると宣言し、そのための手段をダウルから聞き、さらに詳しくレイチェルと聞くために、レイチェルとギルドに向かうはずなのだが。
「レイチェルの家なんて知るわけないだろうが!!」
市場の中心で桜咲は叫んだ。
そう、桜咲は意気揚々と街を歩いてきたものの、レイチェルの家なんて知らない。
自分で叫んでいて、何だか悲しくなってきた。
「いや、その場のテンションってあるじゃん、、、テンション上がって、ドヤ顔したのが恥ずかしい」
呟きながら桜咲が両手で顔を抑える。
はぁ、とため息をついてから、ふと横を見ると市場の横道が見えた。
横道には、猫のような動物がおり、桜咲の興味をひく。
「お、猫?」
言いながら横道に進んでいくと、猫のような動物は走って逃げて行った。
あーあ、と横道で立ち尽くす桜咲。
動物に逃げられるというのは地味にショックなものだ。
はぁ、と再びため息をつく。
とその瞬間何者かに足を掴まれた。
ビクっとして身構えながら足元を睨む。
「な、なに?!」
そこには、黒髪の女性か倒れていた。
「え!?女の子?」
女性は、今にも死にそうな声で桜咲の足にすがる。
「ご、、、は、、、ん、、、」
「ご飯?」
桜咲は警戒しながらも聞き返した。
すると、女性はゾンビの如く、桜咲の足をのぼってくる。
「ごはん、、、ごはんんんんんんん」
こわっ!!
桜咲は心の中で恐怖しながら女性を振り解こうとする。
すると、女性は桜咲の足にしがみつく力をなくし、バタッと地面に倒れてしまった。
「あの、大丈夫ですか?」
反応がない。ただのしかばねのようだ。
いや、ダメだろ死んだら!
桜咲は女性の肩をゆする。
だが、反応はない以下略。
「おーい、ちょっと!目の前で死なないで!かえってこーい」
呼びかけて見るが、反応は以下略。
そのままゆすっていると、女性は急に目を開いた。
そして、桜咲の腕に噛み付く。
「ごはんーーーーー!」
「ぎゃー!」
急に噛みつかれ悲鳴をあげる桜咲。
女性は噛みつきながら再び気を失った。
ああ、面倒事を拾ってしまったのか。
桜咲は再び絶望した。




