35.異世界と新たな一歩
「君のその心の強さが羨ましいよ」
ダウルは桜咲に優しく笑いかけた。
自ら戦地に赴くと言ってくれた若者に、感動すら覚える。
ダウルは更に言葉を続けた。
「君がウルダッセンに行くにはゴールドクラスの資格が必要となるのは知っているね?そして、君はレイチェルとパーティを組んでいる。つまりは、2人でゴールドクラスになる必要があるんだ」
「2人で、ですか。特例とかでどうにかなりませんか?」
桜咲がそう言うと、ダウルは顎に手を置いて悩んだ。
「確かに君の力は特別だ。だが、君という存在を公にすれば様々な問題も起きてくるんだ、分かるかい?」
「えーっと、解剖されたりとかするんですかね」
桜咲は真面目に考えて言ったのだが、ダウルに呆れられてしまった。
「まぁ、極端な話、魔人ではないかと疑われるということもある。また、政治的に利用しようとされる場合も考えられる、それほど強力なんだ、君という存在は」
核兵器を所有し、威圧する国みたいなものか。
と、桜咲は理解する。
「じゃあ、どうすれば正式にウルダッセンに行けるんですか?今は拮抗状態ですが、いつ、ウルダッセンが攻め込んでくるか分からない状態ってことですよね」
「ああ、そうだ。今の街の平和は約束されたものじゃあない。だから、とにかく君は、レイチェルと共に目に見える功績をあげるしかない」
功績。
ダウルにそう言われても桜咲にはピンときていなかった。
「功績って言っても、、、」
「分かりやすく言おう。するべきことは2つだ。まず、レイチェルと精霊の契約」
ダウルは真剣な面持ちで言い放った。
え?精霊って、レイチェルがずっと探してるけど見つからない存在なんじゃ、と桜咲は驚く。
そんな、桜咲を察してか、ダウルは言葉を続けた。
「国家機密だが、精霊を確認した場所がある。そもそも精霊とは神に等しく、大地を変貌させ天を操る程の力をもっている。精霊の情報を一般に開示させないのは危険であるからだ。だが、ショウ君、君がいれば精霊と契約をしに行くことも可能だろう」
突然の話に言葉を失う、桜咲。
更にダウルは続けた。
「そして、2つ目だが、精霊と契約した後に、君とレイチェルは幻獣種の討伐を受けるんだ。能力の取得と目に見える結果、それがあればあとは僕の推薦でゴールドクラスに押し上げてみせる」
言いながらダウルは、服を着た。
「ショウ君、レイチェルと共にギルドの会議室に来たまえ。精霊の話をしよう」
そう言って、ダウルは修練場をあとにした。
目的も手段も決まった。
あとは踏み出すだけ、行こう、先へ。
桜咲は修練場をあとにして街中へと向かった。




