27.異世界と友達
「また来なさいよね」
と、ユーナに見送られ、パン屋ジレッタをあとにする桜咲。
お腹も膨れ、心も満たされていた。
パンも美味しかったし、看板娘は美少女だし言う事ないな、と昼下がりの陽気を全身に受けながら、桜咲はギルドの寮へと歩いていた。
すると、向こう側から、綺麗な銀髪を靡かせレイチェルが走ってきているのが見えた。
「おーい、ショウー」
手を振りながら走ってくるレイチェル。
やはり、どこから見ても理想の美少女だ。
「どうしたの、レイチェル」
「あのね、ギルドに洞窟での事を報告したら、ギルドマスターがショウの話を聞きたいって言い出して、呼びにきたの」
息を乱しながら、レイチェルは言う。
美少女の走った直後とは何故こんなにも淫靡に見えてしまうのか。
煩悩を頭から必死に引き剥がしながら、桜咲は頷いて、レイチェルと一緒にギルドへと向かう。
「え?じゃあ、ジレッタに行ってきたの?」
先程まであったことを、レイチェルに話すと、レイチェルは驚きながら尋ねてきた。
「え?うん」
頷く桜咲。
市場で男達に絡まれるユーナを助け、お礼にと言われ、パン屋ジレッタに行っていた。
「ユーナったら、また危ないことしたのね」
レイチェルは少し怒りながら言った。
いや、これは怒っていると言うよりは、心配の様にも感じる。
「え?知り合いなの?」
「ええ、私とユーナとベリーは幼馴染なの。よく森で遊んだものよ」
レイチェルは笑顔でそう言った。
こういう所が良いところなんだろうな、と桜咲は思った。
友達の事を話す時、レイチェルはとても優しい笑顔をする。
だが、それは、母が行方不明になっている寂しさや辛さから、友達という存在に偏っているのかもしれない、と桜咲は感じたが言葉には出来なかった。
話しながら歩いているとすぐにギルドに到着した。
ギルドの前ではミーナがタバコをくわえなごら立っていた。
「お、戻ったかい、坊や」
「誰が坊やですか」
ミーナの冗談に桜咲が言い返す。
ははっ、とミーナは笑ってタバコを消した。
「楽しかったかい?レイチェルとのデートは」
ミーナがからかう様に言うと、すぐさまレイチェルは赤面し、言い返す。
「で、デートじゃありません!呼びに行ってこいってミーナさんが言ったんじゃないですか!これを言うために私に呼びに行かせたんですか」
「はっはっは、若いねぇ」
ミーナは笑いながらギルドの中へと入って行った。
ちょっと、こんな冗談言われると気まずくなるじゃないですか姉さん。
「じゃ、じゃあ、行きますか」
桜咲は気まずくなる前にレイチェルに言い、ギルドに入る。
レイチェルも桜咲に続いた。




