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22.イクサと異世界と爆風

「なんなのよこいつ」


  レイチェルは大地に捕らえられている男を見下ろしながら言った。

 突如として魔法を放ってきたこの白髪パーマ。


「なんや、この魔法。こんな魔法聞いたことないでぇ」


 捕縛から逃れようともがく男。

 だが、ドラゴンすらも捉えた桜咲のアースプリズンから逃れられるはずもない。


 桜咲は男の近くで膝をついて、問いかける。


「目的はなんなんだ。何で僕たちを襲う?」


 問いかけられた男は、焦りを隠すように笑いながら

「知るかいな」

 と答えた。


「僕たちは争うつもりもない。ただ依頼でファングリオンの討伐に来ただけなんだ。それなのに何で攻撃をする」


 再び桜咲は問いかけたが、男は答えようとしなかった。


 何も答えない男にしびれを切らしたレイチェルが桜咲に提案をする。


「理論上、ショウはすべての魔法が使えるのよね?ならマインドサーチという魔法も使えるのかしら?」


「マインドサーチ?」


 桜咲は聞き返す。

 桜咲の魔法はこの世界の既存の魔法をなぞるのではなく、自分の想像した事象を引き起こすものなのだが、男の正体を知るヒントになるなら。


「ほら、この間使ってたステータスビジョンの強化版で、今考えてることまで分かるらしいのよ。尋問用の高等魔法だから使える人は少ないのだけど」


 ステータスビジョン。

 スマートフォンのメモアプリに書き足されていたレイチェルの情報をごまかす為に、桜咲が使ったことにしている魔法。


「あ」


 と桜咲は思いついた。

 出会った人間はメモアプリに追記されていくのだった。


 桜咲はポケットからスマートフォンを取り出しメモアプリを開いた。


「これか」


 呟きながら追記されているメモを開く。




<イクサ・ガッザス>

 白髪で長身の火炎魔法使い。

 ウルダッセンの帝国軍第4部隊副隊長。



「イクサ・ガッザス、ウルダッセンの帝国軍、、、」


 この男の設定と思われる情報を読み上げる桜咲。

 その情報を聞いてレイチェルと男、イクサの表情が同時に変わった。


「ウルダッセンの帝国軍!?」


「なんでそれが分かんねん。なんや、オウガストの独自の魔法か」


 先ほどまでの取り繕った余裕すら捨てイクサは桜咲を睨みつける。

 ギリギリとイクサが奥歯を噛みしめる音が聞こえてきた。

 どうやら細かな情報を取り出す魔法はウルダッセンにはないようだ。


「くそぉ、、、ここまできて、、、まぁ、でもしゃあないのう」


「何を言っているんだ」


 イクサがどこか、諦めたような言葉を吐いたので桜咲は警戒しながら問う。

 その瞬間、イクサは大きく息を吸い込んだ。


「なっ!?」


 驚くことにいきなりイクサの体が発光し始めた。

 それはさながら、爆発前の爆弾。いや、まさしくそれだ。


 大きく音をたて、爆風と爆煙が巻き起こり、大地が揺れた。

 イクサの諦めを含んだ言葉はこれへの覚悟だったのか。



 自爆。



 ココノエ洞窟は周囲を巻き込みながら爆散し、爆煙と土煙に包まれた。

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