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21.異世界と先制

「誰なの?」


 レイチェルが警戒しながらもその男に問う。


 次第に目が光に慣れてきたのか男の顔が良く見えるようになってきた。

 不規則に流れた白い髪に、眼鏡は科学者を思わせるような風貌。髪こそ白いものの男は20代後半といったところか。

 どこか、いやらしさを感じる顔だった。


 レイチェルに問われた男は口角を片方だけ上げ、口を開く。


「誰や、って?そんなんこっちが聞きたいわぁ」


 男に言われ、レイチェルと桜咲は名乗る。


「レイチェル・フェサリオよ」


桜咲(おうさき) (しょう)


「なんやぁ?アベックかいな、逢引なら他のとこでしてくれるか?」


 癖なのか男は口角を片方だけ上げながら言い捨てる。


 男に言われ、レイチェルは少し取り乱す様子を見せた。


「違うわよ!私達はその、ファングリオンの討伐を正式に受けたオウガストの冒険者です。あなたは?」


「ボク?ボクはぁ、こういうものです」


 男は言いながら右手の人差し指をレイチェルに向けた。


 桜咲はその瞬間、ピリっと空気が肌を刺すように感じた。

 何かくる、そう直感した。直感したと同時に桜咲の体は動いていた。


 右手をレイチェルにかざし唱える。

 間に合え。


「バリア!」


 桜咲が唱えると同時にレイチェルの目前に大きな音をたてて火炎が現れ、爆煙を巻き上げた。


「レイチェル!!」


 桜咲(おうさき)がレイチェルに駆け寄る。

 煙でしっかり見えないがレイチェルの影は確認できた。


「大丈夫、、、ありがとう、ショウ」


 レイチェルはそう言うが、突然の事に怯えている様子。



「なんのつもりだ!」


 声を荒げ、桜咲は男に吐き捨てた。


 そうか、この男の言葉が重く感じたのは、悪意。

 敵意。


 また、口角を片方だけ上げながら男は右手の指先を桜咲に向けた。


「なんのつもり、て。答えばっかり求めよるけど、答えは貰うもんやない、掴むもんやで?」


 また、なにか来る。

 そう直感した。


「なら、お前を倒してから聞くよ。まだ試験が出来てないから、手加減できないよ。まぁ、個人的な恨みもあるけど」


「ほぉか。なら、ぶっとびぃや」


 男の指先からバスケットボールくらいの火炎が放たれた。


 ナメるなよ。どれだけファンタジーを読んだか、ゲームをしてきたか。

 火属性には水属性だろ。


「アクアドラゴニカ!!」


 そう桜咲は唱えながら、右手を男に向けて振る。


「なんやそれ!」


 つい、男は声を荒らげる。

 それもそうだ。目の前に洞窟の広さ目いっぱいの、水でできたドラゴンが現れ、そのまま自分目掛けて突っ込んでくるのだから。


 ドラゴンは男の放った火も巻き込み、男を飲み込んでいく。


「ぐぁぁぁ!」


 男は水の衝撃を受け、大きく後方へと吹っ飛び、地面に叩きつけられた。


「なんや、、、この、、、魔力量、、、。化けもんやないか、、、」


「僕のパーティーに魔法を撃ったんだ。覚悟は出来てるよな」


 言いながら桜咲は更に右手を、倒れている男に向ける。


「アースプリズン!!」


 森でドラゴンを捕縛した魔法を唱えた桜咲。


 唱えた瞬間、男の周りの地面がせり上がり、そのまま地面が男を捕縛した。


「くっ、、、」


 苦悶の声をあげる男。

 さて、どうしてくれようか。

 桜咲、大きく息を吸い込んで吐いた。


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