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20.異世界の魔物と動物

 出入り口の門を超えると少し平原があり、その先にレイチェルと桜咲が出会った森がある。

 ちなみに平原はノアンの平原と呼ばれ、森はクツキの森と呼ばれているが、特に覚えるほどでもない。


 レイチェルの街を説明を受けながら森を進んでいき、ココノエ洞窟と呼ばれる洞窟の前に到着した。


「ここが洞窟?」


 桜咲は先の見えない程くらい洞窟に不安を感じながら聞いた。

 レイチェルは依頼書を開きながら桜咲の質問に答える。


「そうよ、ここがココノエ洞窟。昔からあるんだけど、魔物の住処になっているのよね。冒険者の間では魔物が頻繁に出るエリアのことを、ダンジョンと呼んでるんだけどオウガストから一番近いダンジョンがここね」


 ダンジョンか、まさしく自分の想像する異世界だなぁ。と桜咲は聞きながら苦笑する。

 討伐するのは、確かファングリオンだとか。


「ファングリオンってどんな魔物なの?」

 桜咲はレイチェルに尋ねた。


「そうね、獣型の魔物で、先祖は狼と呼ばれる動物だったらしいわ。ファングリオンは森や平原なんかじゃよく見る魔物ね」


 そうレイチェルは説明をしてくれた。

 先祖は動物?と桜咲は首を傾げた。


「先祖は動物って、どういうこと?魔物と動物って違うの?」


 桜咲がそう質問するとレイチェルはため息をついてしまった。


「なにもしらないのよね、説明するのわすれてたわね」

 そう言ってレイチェルは魔物と動物について説明を始めた。


 魔物と動物。

 元々魔物は存在しなかった。

 それが何のタイミングからか、魔力を纏った動物が発生したのだ。

 それは世界的に同時に発生したと言われておりそこから爆発的に魔力を纏った動物は増え独自の進化を遂げた。

 それを動物と区分し魔物と呼ぶことにし、現在に至る。


「つまり、魔物は元々動物だったのか」

 レイチェルの説明を受け、桜咲は自分なりに理解をした。

 レイチェルは「そうね」と言葉を続ける。


「ここはファングリオン1匹が目撃されていて、危険だからって街の住人が討伐依頼を出したみたいね」


 依頼書を読みながらレイチェルはそう言った。

 1匹か。

 よく考えれば人間が素手で勝てる動物って中型の犬くらいなんだから、危険であることは間違いないんだよなあ、と考えると桜咲の手のひらに汗がにじむ。


「じゃあ、行こうか」

 レイチェルはそう言って洞窟に進んで行った。


 後を追うように桜咲も進んでいく。



 真っ暗な洞窟。本当に1メートル先も見えないくらいだ。

 レイチェルは右手を暗闇にかざして

「ライトアップ」

 と唱えた。


 するとレイチェルの右手から光の球が発生し、2人の歩く先を照らした。

 その名の通り光で照らす魔法なのだろう、LEDライト要らず、究極の省エネだな、と桜咲は関心する。


「ここからは何が出てくるか分からないから、武器を構えながら進もうね」

 そう言いながらレイチェルは腰の探検を抜いた。


 続いて桜咲も刀を抜き右手構えながら歩いていく。



 光で照らされたとはいえ洞窟の中は空気がじっとりとしていて、どこか不気味に感じる。

 生暖かい風が頬をかすめ、獣臭もうっすらと感じる。


 警戒しながら歩いていく。


「気をつけてね、ファングリオンの動きは魔物の中でもかなり早い方なの」


「うん。レイチェルも少しでも危ないと思ったら僕の後ろに隠れるんだ」


「あら、頼もしいのね」

 周囲を警戒しながらレイチェルはふふふと笑った。

 ある程度信頼してくれてるのかな、と桜咲は何だか嬉しくなってしまう。


 そういえば現実世界で頼られることなんてなかったし、自分から誰かの為に何か出来ることなんてなかった。

 そんなことを考えているとついつい表情に出てしまう桜咲。


「余裕そうね」

 レイチェルはそう言って笑った。


 そんな風に警戒しながらも会話しつつ進んでいると、洞窟の奥から獣の叫び声が響いてくる。

 グアアアアアアアアアアア!!!!

 と、どこか苦しそうな獣の叫び。


 周囲を警戒していた桜咲とレイチェルだったが、その警戒を上回っていた。


「な、なにこれ」


 響く声に警戒を強めるレイチェル。


「多分獣の声かな」


 桜咲が聞きながら言うと、響いていた獣の呻き声が鳴り止んだ。


「これってファングリオン?」


 桜咲がレイチェルに尋ねるが、レイチェルもその答えはわかっておらず首を横に振る。


「分からない、、、。でも、声が止んだってことはファングリオンはもう、、、」


 もう、死んでいる。

 レイチェルはそう言おうとして途中で言葉を止めた。

 桜咲もそれを察してか、聞き返さなかった。


「行こう!」


 そう言って桜咲は走り出した。

 レイチェルも桜咲の後に続いて走った。


 しばらく周囲を警戒しながら1本道の洞窟を走ると少し先に光が見えた。

 洞窟の中にあるには不自然な光、レイチェルの唱えたライトアップの魔法によく似た光だった。


「あれじゃない?」


 走りながらレイチェルは桜咲にそう言った。

 警戒しながら進んでいき、光源の前で2人は足を止めた。


 逆光になっていてよく見えないが、人間の影と足元に横たわる狼のような獣。


 この人間にあの足元の獣、おそらくファングリオンが討たれたのだろうと桜咲は推測した。

 警戒を解かずに少しずつ近寄っていくとその光の中の人間がこちらを見ているのが分かった。


「レイチェル、出来れば僕の陰に」


 小声で言いながら桜咲はレイチェルの前に立った。



 目の前の光が強く、まだ人間の顔までは見えないがその体格から、男であることがわかる。

 いきなり登場した存在に、桜咲が緊張と警戒で言葉を失っていると、光の方から声が聞こえてきた。


「あれぇ?誰かなぁ、こんなところに」


 なんてことない言葉だったが、どこかその言葉は重苦しく感じた。

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