2.出会ったのは異世界美人
「うわぁ!」と桜咲は飛び起きる。
頭から落ちる感覚の余韻が彼にそうさせたのだろう。
桜咲が目を覚ますと目の目に綺麗な銀髪の女の子がいた。
「やっと目覚めた?危ないよこんなところで寝ちゃうと」
女の子は心配そうに顔を近づけて桜咲にそう言った。
こんなとこ?電車の中、、、じゃない!?と桜咲は不自然に周りを見る。そんな桜咲の姿を見て女の子は首を傾げた。
「どうしたの?」
「え?あ、、、いや、、、」と桜咲は言葉に詰まる。
状況がわからない。さっきまで帰宅の電車に乗って小説の設定を練って、それから、、、。
「ん?」
違和感を感じて桜咲は女の子に視線をやる。
まず女の子の服装が日本じゃ考えられないデザインだった。
まさにゲームやアニメに出てくるファンタジーのそれ。次に桜咲は女の子の向こう側を見回す。
「ここ、、、森?」
疑問がつい言葉になる桜咲。
「何言ってるの?」と女の子が笑う。
まさしく今いる場所は木々に囲まれた森だった。
「ここはオウガスト領のビジルの森よ?」
首を傾げながら女の子は答えてくれた
オウガスト?と桜咲は疑問を表情に浮かべた。どこかで聞いたことがある、、、というか、さっき、、、。とポッケに手を入れてスマートフォンを取り出す。
すると女の子は画面を覗き込んできた。
「なにそれ?」
「え?スマートフォンだけど、、、」
「スマートフォン?」
また首をかしげる女の子。
女の子を横目に桜咲はメモアプリを起動した。メモを読んでいくと桜咲の頭の中は疑問でいっぱいになった。
桜咲が作り込んでいた小説の設定<アルクライン>の欄。
<アルクライン>は5つの国に分かれている。