18.異世界初依頼
「で、どんな依頼がいいの?」
ベリーが書類の束を手に桜咲とレイチェルに質問した。
「そうねぇ」とレイチェルは言葉を続ける。
「討伐系で何かないかな?」
桜咲の魔法の試験、検証も兼ねて魔物討伐の依頼を受けようということになっている。
レイチェルの要望を聞き、ベリーは書類の束を机の上に置いた。
「討伐系ね。発動、サーチ。検索ワード、討伐」
ベリーがそう唱えると書類の束が薄く発光し、そのうちの数枚の書類がぬけでてきた。
「おお、すご」
桜咲は他人が使った魔法に素直に感動を覚える。
「ベリーはね、属性魔法が苦手なんだけど、無属性の魔法は少し使えるの。その中でも仕事に活かせる魔法はベリーのオリジナルなのよ」
まるで自分のことのようにレイチェルは得意げに言った。
確かに検索サイト要らずだな。
ベリーは魔法で選り分けた書類をパラパラと素早く読んでから、そのうちの1枚をレイチェルに手渡した。
「これなんてどう?」
受け取ってレイチェルは書類に目を通す。
「ココノエ洞窟、、、森を抜けたところね。ココノエ洞窟を拠点にしているファングリオンの討伐、、、か」
書類を読み上げて桜咲の方を向いた。
「どう?私はこれでいいと思うんだけれど」
どうと聞かれても桜咲にはどの程度の依頼なのか判断する術はない。
だが、ドラゴン討伐がプラチナクラスの依頼なのだとすれば、ブロンズである自分が受けられる依頼など、ある程度平気だろう。
「うん、レイチェルが良いなら僕はなんでも」
桜咲はそう答えた。
桜咲の答えを聞いてレイチェルは頷きながら書類をベリーに返す。
受け取ってベリーは再確認をする。
「じゃあ、ファングリオン討伐でいいのね。じゃあ、正式に2人に依頼をするわ。報酬は依頼書の通り銀貨8枚よ、いい?」
ベリーの言葉にレイチェルは笑顔で頷いた。
「うんうん、ショウとなら大丈夫よ。目のまでドラゴンを討伐するところも見てるし、精霊魔導師にはなれてないけど私も通常魔法は苦手じゃないしね」
レイチェルが桜咲に期待の視線を向けながらそう言うと
「あ、それだけど」
と、ベリーは言葉を足した。
「本当にドラゴン討伐したのね、君。昨日、あの後確認しに行ったギルドメンバーから高密度な魔力を練りこんだ土で捕縛しているドラゴンがいると報告されたわ。これが君の魔法だってバレると大変なことになると思うのよ、あらぬ疑いや理不尽な待遇を受けたり、、、だからドラゴンが既にそうなっていたという目撃情報だけにしといたわ。余計だったかしら?」
ベリーは書類から視線をあげて桜咲に問う。
確かに、突然目立てばあらぬ疑いもかけられるだろうし、何より桜咲が書いていた設定に主人公がいきなり目立つというシーンはなかった。
「いや、助かるよ。僕は変に目立って何かあってもいやだしね」
桜咲がそう答えると、ベリーが依頼書を手渡して来た。
「じゃあ、お願いね、この依頼。勇気ある者に神のご加護がありますように」
依頼書を受け取り桜咲はレイチェルと共にギルドを出た。
さぁ、クエスト開始。
魔物と戦うというのに桜咲の心の中は恐怖よりもワクワク感の方が多かった。




