11.異世界のイチゴミルク
一連の登録作業を終えると桜咲はベリーから宝石のようなペンダントを受け取った。
彼女曰く「これがオウガストの冒険者である証だから大切にね」だとか。
受け取った桜咲はレイチェルに連れられて、カフェスペースの席に着いた。
カフェスペースと言っても周りの席を見渡すとビールやワインを飲んでるように見受けられた。
「何飲む?」
桜咲を席に着かせてからレイチェルは尋ねる。
「あ」
と桜咲は間抜けな声を出してから気がついた。
この世界のお金を持っていないということに。
それを察したのかレイチェルは大袈裟な笑顔で応えてくれる。
「分かってるわよ。異世界から来たんだからここの通貨なんて持ってないんでしょ?貸しにしておくからなんでも飲んで」
ああ、天使だ。と桜咲は頬を緩める。レイチェルに会ってから桜咲の頬はユルユルだ。
「じゃあ、レイチェルと同じ物で」
「うん分かった。でも甘いものになるわよ?」
「うん大丈夫だよ」
「じゃあ、買ってくるね。ちょっと待ってて」
そう言ってレイチェルは飲み物を購入するカウンターに行き飲み物をトレイに載せて戻ってきた。
もちろんトレイは木製である。
飲み物は陶器と思われる容れ物に入っており、中身は牛乳のような色合い。
「これって」
と桜咲が尋ねる。
「牛の乳に赤い身の果実を混ぜたものよ?苦手かな?」
つまりはイチゴミルクということか。
たしかに甘い。が、桜咲は苦手というほどでもない。
「ううん、全然。大人になってから飲む機会は中々なかったけど子供の頃はよく飲んだよ」
桜咲がそう言いながらその飲み物を口に入れる。
するとレイチェルは少し拗ねたような表情をした。
「どーせ子供みたいな味覚ですよーだ」
ああ、拗ねても可愛いと思いながらも桜咲は弁解する。
「違うよ!ごめんごめん」
「なんてね」
レイチェルはふふふと笑っておどけて見せた。
なんて破壊力だろう。糖分のせいか興奮のせいか鼻血が出そうだ。
「でも」とレイチェルは言葉を続ける。
「ショウの世界にもこんな感じの飲み物があるのね?」
「うん、イチゴミルクって言うんだけど、ほとんど同じだよ。味も見た目も」
へぇ、とレイチェルは自身も飲み物を飲む。




