一か月の集中学習と二か月のスパルタ指導
フレーゼ視点です。
フィーレ様をはじめとした第三部隊に宣言した通り、ソラ様は《軍師》として勉強を始めました。
私が持ってきた一般的な兵の運用方法の載った書物や過去の戦の記録などを片っ端から読み漁り、自分なりに紙にまとめているようでした。
集中している時のソラ様は鬼気迫る様子で、私も思わず見惚れてしまいました。
しかし、それを口に出してしまうとソラ様の成長を妨げてしまうと思い、心を鬼にして「この程度しかできないのですね。失望しました。」と申し上げて、さらに書物や記録を追加したところ「鬼!悪魔!」と仰って、涙目で喜んでくださいました。私の気持ちが伝わったのでしょうね。
実際のところソラ様は軍学校で習う内容を本当に一か月で学び、さらに自分で考えた応用を何枚もの紙にまとめていました。
少し拝見させてもらいましたが、どれもよくまとまっていて、かつ斬新なものばかりでした。
本人は「漫画やアニメで見たことがあるものもあるよ。」と人の考えたものもあると仰っていましたが、自分で考えたものの方が多いのは、よくそんなに思い付くものだと末恐ろしいものを感じました。
これが一か月のソラ様の活動でした。
次に、第三部隊の訓練ですが、はっきり申し上げますとあれは人に行う訓練だとは思えませんでした。
ある日は気絶するまで走らされ、目が覚めたら優しい口調で言葉攻め。
またある日は気絶するまで剣を振らされ、目が覚めたら優しい口調で言葉攻め。
またまたある日は気絶するまで魔法を打たされ、目が覚めたら優しい口調で言葉攻め。
逃げ出そうとした兵士もいましたが、ソラ様が捕まえてしばらく話すとなぜかやる気を出して訓練に戻っていきました。何を吹き込めばああなるのでしょうか?
ソラ様は訓練の様子を観察しながら何かを紙にまとめていました。
ソラ様に何をしているのか尋ねたところ「一人一人の特徴をまとめておこうと思ってね。これを見ればみんなの成長の助けになるでしょ?ほら僕、人間観察得意だし。」と仰っていましたが、一人につき一枚の紙いっぱいにその人の特徴が書かれていました。内容もよく見ていないと気付かないことばかり書かれていました。
こんなにする必要があるのかとソラ様に尋ねたところ「僕みたいな素人を信じてくれるんだ。僕も少しは力にならないとね。」と笑っておられました。凶悪なソラ様の笑みも好きですが、普通に笑うソラ様に思わずにやけそうになったのは何とか気づかれなかったと思います。
ソラ様は訓練のない日などは第一部隊の観察や兵を率いたことのある人物を尋ねて経験談を聞いていました。
なぜ、経験談を聞くのかソラ様に尋ねたところ「僕は戦場を知らない素人だから、そういったことを経験した人の話を聞くのはとてもためになるよ。その場でしか感じない事とかあると思うしね。あともう一つ理由があるけど内緒にしとくよ。」と仰っていました。もう一つの理由というのが気になりましたが、いつかソラ様が話してくださると思い詳しく聞くのはやめました。
この二か月で第三部隊は私の目から見ても練度が上がって見えました。
まず、基礎体力がついたことで機動力が増しました。
次に、個々の技量ですが体力がついたことにより長く訓練できるようになったため効率よく上達したと思います。
そして一番大きいのが、ソラ様の命令をよく聞くようになりました。
軍にとって大事なのは命令を守ることです。統率の取れない軍隊は簡単に負けてしまいます。
やはり、ソラ様の一人一人の特徴をまとめた紙やソラ様と会話してその人柄に触れたのが良かったのではないかと思います。
以上が二か月のまとめです。
今、ソラ様はかわいい寝顔を私に晒してくれています。ここ三か月はずっと頑張っていましたので疲れたのでしょう。
「お休みなさいませ。ソラ様。」
そう言って私はソラ様の額に口づけして部屋を退出しました。
感想等お待ちしています。




