という訳で、大変でした。
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「でね、スマホの写真すみからすみまでチェックされちゃった」
「へぇ、なんか仲いいんだな」
ここは、彩未のカレシ翔太の部屋。
翔太が独り暮らししているマンションの一室だ。
週末はいつも彩未はここで過ごしている。そして、夏休み中の今も。そんな事が、付き合いはじめてからずっと続いてきている。でも、それはたった数ヶ月前の事。
と、言うのも...彩未と翔太とは、産まれたときからご近所さんという間柄。そして、高校一年生から大学一年生まで付き合って、別れてそして。
つい、2ヶ月ほど前に再会した...。合コンで。
再会したその、次の日にはやっぱり彩未もそして翔太も、好きだという想いを伝え合って。今に至る。
「で、さ。とりあえずは挨拶にいこうか?」
翔太が、いったいどこに、でとさをつけたのか。
そう言った。
「ん?」
「ちょうど明後日は桜花F.C.あるし、ついでに話だけしておこうと思うんだけどさ」
「挨拶ってそのあの。挨拶ってあの挨拶」
「たぶん、そのあの挨拶」
クールに言われて、彩未は翔太の顔を見た。
なんだかプロポーズされてからというもの、翔太は何というか、落ち着いた。そんな言葉がしっくりとする。
前まではすぐに照れてたのに。
「いる?」
「いるだろ?」
「いり、ますね」
一応、口約束とはいえ『婚約』という事だ。
土曜日は、翔太は昼過ぎから、日曜日も朝から桜花F.C.という小学校のサッカーチームでコーチをしている。
桜花F.C.の練習は桜花小学校であり、そこは二人の母校でだから実家の近くなのだ。
「連絡しとこうよ、お互いに」
「ええーっと、翔太。本気?」
「本気?ってなんだよ」
「いや、早くない?」
「何が?」
「まだ、その。いつって決めてからの方がいいかなぁ、なんてね」
「...俺としてはさ、こうして週末過ごしたり...してるのになんの挨拶もなしっていうのはよろしくないと思う。京香さんたちに悪いし、颯くんにも申し訳ない」
「な、なに。申し訳ないって」
「そのまんまだけど?」
よろしくないと思う。なんて、何というか、やはり翔太という人は真面目なのだ。
京香というのは彩未の母で、颯くんというのは彩未の兄である。
翔太からしてみれば、颯は憧れの存在だったからそれが根強いのだろう。
「じゃあ、俺からかける」
スマホを手にすると、翔太は実家にかけて
「おれ、日曜日そっち寄るから。話あるからさ」
一言言うと、「じゃ、そういうことでよろしく」と言って切った。
「じゃ、次は彩未な」
「うん、わかった」
彩未は覚悟を決めて、スマホを手にした。
確かに翔太の言うように、こういうことは早く言っておく方が、その先のこともすんなり進みそうだと思ったからだ。
『もしもし』
コール音のあとに応答があり、
「あ、お母さん、彩未」
『彩未?ひさしぶり』
「あのね、日曜日にそっち行こうかと」
『日曜日?いいけど、わざわざ聞くなんてどうしたの。自分の家なんだから』
「えっと、ちょっと話っていうか、人を連れていくって事で」
『いい話ってことね?』
「た、ぶん」
『わかった~、時間は?昼ごはんはどうする?』
「昼ごはんは食べていくから、いいよ」
『はいはーい』
「て、言うことです」
「一仕事したから、アイスでも食べるか」
ちょっとクールな雰囲気の翔太は、クールなアイスが好きだ。
冷凍庫には常備されている。もちろん、彩未も。
「ヤバイな...」
「緊張する?」
「するな...」
マカダミアナッツいりのアイスを開けて、スプーンで掬って食べている。一重の切れ長の瞳と、左目の目尻にあるちいさなホクロと、そして少し厚めの唇が、クールな雰囲気なのに、それでいて色気のある顔立ちの翔太は、なかなかのイケメンなのだ。
しかも、180㎝の長身に加えてとそしてサッカーで鍛えた身体は文句なしにカッコいい。
「ねぇ。私も、翔太のママに会うよね?」
「それは、別にいいんじゃない?知らない間柄な訳じゃないし」
「それはダメでしょ~、遠い訳じゃないし」
「ダメ。恥ずい」
「なんだとぅ」
「彩未の両親に会うだけで、キャパオーバー」
「なる...」
確かに、言うことは分からなくもない。
「じゃあ、その予定でいこっか」
賛成の証にグーをコツンと合わせる。
「「いぇい」」
なんだか騒がしくなりつつある日常。
こうしてアイスを一緒に食べられるだけで彩未はとても幸せ。




