海月船
揺れる船は遥か彼方
暗闇の海を照らしていく
波は静かに
風は囁き
草木が靡いて
訪れを告げる
少年は木の上
私はその隣
木枯らしのすさぶ
明けない夜だって
君といれば
こんなに暖かくて
涙が出そうなくらい
不思議とうれしくて
ぽつりぽつりの会話でも
十分に伝わって来る
波はきらめき
風は涼しく
草木が歌って
訪れを告げる
月の船の来訪を
私は息を飲んで見守った
森に囲まれた小さな丘で
海の良く見えるこの木の上で
半月の海に浮かぶのを
私はしっかりと見届ける
言葉を失くしてしまっても
君と居られればそれでいい
星が見えない
朝陽が来ない
暗闇の中でも
君の隣で
あの船にのって
どこまでもゆけたら
私はずっと幸せなのに
そう願っているのに
そっとうつむくと
涙が一筋
いつかあの海になって
もう一度あの船を浮かべる
海月船を
君と、また
見れるといいな